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すかいらーく100店閉店の衝撃…ファミレスの閉店ラッシュが加速、3年で1000店減少

構成=長井雄一朗/ライター
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すかいらーくグループが運営する「ガスト」の店舗
すかいらーくグループが運営する「ガスト」の店舗

 ファミリーレストラン業界の苦境が続いている。ファミレス各社は、から揚げやカフェなど専門性の高い業態への店舗転換や不採算店舗の閉店を進めるなど、これまで以上に大規模な改革を進めている。

 これまで、ファミレス業界は和洋中の豊富なメニューと全国展開の店舗網で成長を続けてきた。しかし、そんな「総合外食」としての従来型ビジネスでは持続困難となるリスクを抱えており、以前から悩みの種であった人手不足に加え、円安などに起因する原材料高騰などの要因もあり、かつてない不振にさらされている。

 帝国データバンクの調査によると、外食チェーン16社が展開するファミレス店舗の閉店ペースが再加速して、2022年度末までに1000店舗閉店する見込みだという。ファミレス業界の現状について、帝国データバンク情報統括部主任の飯島大介氏に聞いた。

ファミレス閉店ラッシュの裏側

――ファミレス業界は苦境が続いています。

飯島大介氏(以下、飯島) ファミレス業界では、不採算店舗の閉店や業態変更といった動きが再び加速しています。上場する主な外食チェーン16社が展開するファミレス業態の店舗数は22年6月期時点で8420店舗となっており、コロナ前の19年12月期に比べて810店、約9%減少しています。最も多いのは減少率「5%以下」の6社、次いで「10%超」の5社となり、店舗数の減少傾向には二極化がみられています。

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すかいらーく100店閉店の衝撃…ファミレスの閉店ラッシュが加速、3年で1000店減少の画像3――なぜファミレスは集客に苦戦しているのでしょうか?

飯島 リモートワークの普及などで繁華街やオフィス街の都心部を中心にサラリーマン客が戻らないことに加え、最近では原材料高や人材難が重なり、多店舗展開を行うチェーンを中心に再び収益が悪化しつつあります。そこで、テイクアウトやデリバリーサービスの拡充、タブレットなどIT 投資による人件費の削減を進めているほか、不採算店舗の閉店を実施しています。

――大手チェーンも閉店ラッシュが続いています。

飯島 すかいらーくホールディングスが昨年に続き、主力ブランド「ガスト」をはじめ採算が悪化した約100店舗を閉鎖すると発表しました。また、九州を経営基盤とする「ジョイフル」も、直営店の3割に相当する200店超が閉店となります。足元では、21年12月期から22年3月期(0.5%減)、22年3月期から6月期(1.5%減)と、ファミレス店舗の減少ペースが再び加速しています。このペースが続いた場合、各社の店舗閉鎖計画や予測も含めて考えると、23年3月期の店舗数は8000店前後にとどまり、コロナ前から累計1000店舗超の減少となる可能性が高まっています。

――今後は、生き残るための競争が熾烈化していきそうですね。

飯島 ファミレス各社ではすでにさまざまな取り組みを行っています。たとえば、ガストは一部店舗でグループのから揚げ専門店「から好し」を併設し、から揚げを中心としたさまざまなメニューを開発しています。セブン&アイ・ホールディングス傘下の「デニーズ」、「ロイヤルホスト」などはテイクアウト商品を強化しています。テイクアウト商品の販売が好調であれば、広い面積を有する店舗は不要になります。つまり、テイクアウトの普及と閉店ラッシュの動きは表裏一体ともみることができます。

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もうファミレスは儲からない?

――ファミレスからの業態転換を迫られるケースも増えていますね。

飯島 ファミレス業界では、他業態の店舗を展開するリブランディングの動きが広がっています。ファミレス運営16社のうち、ファミレス非専業8社の店舗数合計から業態の変化をみたところ、構成比で最も増加したのは牛丼やハンバーガー、ホットスナックなどの「ファストフード」で2019年12月期から1.2ポイント、次いで「カフェ」が0.9ポイント、「焼肉」が0.4ポイント、「すし」が0.1ポイント上昇しています。特に注目されているのが、居酒屋大手「ワタミ」の業態転換でも話題になった焼肉です。

 一方、構成比で最も落ち込んだのは「居酒屋」で、2019年12月期から1.1ポイント低下しました。コロナ禍で居酒屋需要が大きく落ち込むなか、ファミレス同様に不採算店舗の閉鎖が進みました。ファミレスの閉店にはこうした業態変更も含まれているため、店舗として完全に消えたわけではなく、実体としては他業態に置き換わったケースも多い点に注視する必要があります。

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――もはやファミレスという業態が儲からなくなったということでしょうか。

飯島 ファミレスのビジネスモデルは、和洋中を取り揃えたオールジャンルのメニューを用意し、ファミリー層を主なターゲットとして、1回の来店で4000円ほど使ってもらうというものでしたが、昨今の情勢では存続が厳しくなりつつあるといわざるを得ません。たとえば、回転寿司店がメインとなる寿司だけでなく、麺類やスイーツなど多彩なメニューを取り揃えたことでファミリー層の人気を集めるなど「ファミレス化」が進んでおり、従来からのファミレス業態にとっては非常に手ごわい競合相手となっています。

 そこで、ファミレスではテイクアウトなどの新たな強みが必要になってきているわけです。また、昨今は消費者の好みが細分化しており、「何か一つに特化している」業態が集客力を高めています。いずれにしても、オールジャンルで勝負してきた従来のファミレスのビジネスモデルでは、消費者の外食ニーズを満たせなくなってきた。それが、苦境に陥ってしまった根本的な要因の一つといえるでしょう。

長井雄一朗/ライター

長井雄一朗/ライター

建設専門紙の記者などを経てフリーライターに。建設関連の事件・ビジネス関係で執筆中。

Twitter:@asianotabito

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