大手回転寿司チェーン「あきんどスシロー」の握り寿司「茄子の揚げびたし」のネタが、店内ポップやHP上の料理の写真と比べて非常に「薄い」としてSNS上で「おとり広告」「優良誤認」ではないかと話題を呼んでいる。スシローといえば2021年に新商品の広告をめぐり景品表示法違反(おとり広告)で消費者庁から措置命令を受け、昨年には「何杯飲んでもビール半額」のキャンペーンにおいて、開始時期が明示されていないポスターを一部店舗でキャンペーン開始前から掲載し、客との間でトラブルが発生する事例が起きたりと、問題が相次いでいるだけに、同社の体質が改めて問われている。
全国に約630店を展開し国内店舗数ベースでは回転寿司業界1位のスシロー。3位の「くら寿司」より100以上多く、4位の「かっぱ寿司」の2倍以上であり、2位の「はま寿司」と並び2強を形成している。
スシローの業績は曲がり角を迎えている。スシローを運営するFOOD&LIFE COMPANIESの22年10月〜23年6月期の連結決算(国際会計基準)は、営業利益が前年同期比36%減の79億円。国内スシロー事業は11%減収で、既存店客数は22年10月〜23年7月にかけ前年同月比マイナスが続いていた。同社は23年9月期通期の業績見通しについて、売上収益(売上高に相当)が前期比14%増の3200億円、純利益は66%増の60億円、営業利益は9%増の110億円としている。
業界1位の地位は揺るがないものの、スシローを取り巻く環境は厳しい。21年9~12月に「新物!濃厚うに包み」「冬の味覚!豪華かにづくし」などの広告を展開していたが、実際には販売期間中に早期に完売して販売できなかったり、在庫不足を懸念して販売を一時停止していたにもかかわらず広告を出し続けていたことが発覚。景品表示法違反(おとり広告)で消費者庁から措置命令を受けた。昨年7月には、「何杯飲んでもビール半額」のキャンペーンにおいて、キャンペーン開始時期が明示されていないポスターを、一部店舗でキャンペーン開始前から掲載し、ビールが半額になると勘違いした客との間でトラブルが発生する事例が起き、スシローは謝罪、返金対応に追い込まれた。
景品表示法上の問題
そして今回話題になっているのが、「茄子の揚げびたし」のネタの薄さだ。店内ポップやHP上には、シャリの上に厚めに切られた茄子の揚げびたしが乗っている写真が掲載されているのだが、実際に店舗で提供された料理のなかには厚さ数mmほどの「極薄の茄子」のものもあり、SNS上では以下のように厳しい声が続出しているのだ。
<写真と違いすぎて詐欺かと思った>
<厚みもそうだけど切り方も輪切みたいになってて全然違う>
<おとり広告を反省せずにまたやらかす>
<写真と違いすぎ>
<ペラペラで草>
「これは『おとり広告』ではなく『優良誤認』の問題ですね。広告では、ナスの厚さがシャリとの比較においても1cmはあるように見えます。しかし、実際の品は数mm程度ですので、実際の品より『厚みがあるナスを使っている』と偽って広告しているようなものです。もし、これが偶然のものではなく、調理マニュアルなどで『数ミリ程度で用意すること』などとされていた場合は、違法性が高まります。景品表示法に基づき、とっとと行政指導をしてほしいものです」
FOOD&LIFE COMPANIESに見解を聞いた。
「ご提供商品が、店内ポップ写真との大きさに差があることについて、本来、弊社が提供時に想定している商品のサイズ(厚み)と異なる商品であり、調理・提供上の間違いだと認識しております。通常、このようなことがあった場合、お客様から店舗スタッフへお伝えいただきますと、本来提供すべき商品と交換させていただくようにしております。この度は、弊社の提供した商品についてお騒がせをし、誠に申し訳ございませんでした。今後は、このようなことがないように誠心誠意、努めてまいります」
(文=Business Journal編集部、協力=山岸純弁護士/山岸純法律事務所代表)