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スシローの寿司が小さくなった説、「魚べい」のほうが美味しい説を検証

文=Business Journal編集部、協力=重盛高雄/フードアナリスト
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スシローの寿司(撮影=重盛高雄)

 回転寿司チェーン「スシロー」の寿司のサイズが小さくなったのではないかと一部で話題を呼んでいる。SNS上では「魚べい」のほうが大きくて美味しくてコスパが良いという声などもみられるが、果たしてこうした情報は事実なのだろうか。実際に店舗を訪問した検証結果やスシロー運営会社への取材を交え、「真相」に迫ってみた。

 全国に約630店を展開し国内店舗数ベースでは回転寿司業界1位のスシロー。3位の「くら寿司」より100以上多く、4位の「かっぱ寿司」の2倍以上であり、2位の「はま寿司」と並び2強を形成している。

 スシローの業績は堅調だ。今年は業界全体が客による迷惑行為に悩まされたが、スシローを運営するFOOD&LIFE COMPANIESの2023年9月期第3四半期連結決算では最終利益は前年同期比8.1%増の56.7億円となっている。

 スシローといえば競合他社に先駆けてIT・DX投資に積極的な姿勢でも知られている。レーン上の回る皿にICチップを内蔵してデータを分析し、それを需要予測に活用することで販売機会損失や食材廃棄ロスを削減するといった施策をいち早く導入。無人レジやタッチパネル式オーダー機の導入により、顧客は入店から会計・退店までの間に一度も店員に接触しないシステムも導入している。

「電通、アクセンチュアなどを経て日本航空副社長を務めた水留浩一氏が15年に社長に就任したことが大きい。古い体質を引きずる回転寿司業界にあって、経営コンサル的な手法を導入して徹底的な経営合理化を進めた」(外食業界関係者)

 原材料価格やエネルギーコストの上昇を受け外食業界が一斉に動くなか、スシローも例外ではない。昨年10月には黄皿を110円(税込み、以下同)から120円に、赤皿を165円から180円に、黒皿を330円から360円に値上げ(郊外型店舗)。今年5月には「黄皿」商品を80皿以上に拡充し、黒皿を260円に変更する一方、値段を固定しない高価格帯の「白皿」を投入した。

スシロー、価格妥当性に難

 そんなスシローの寿司をめぐって、8〜9月頃からサイズが小さくなったのではないかという声がSNS上で目立つようになっているのだ。そこでFOOD&LIFE COMPANIESに確認したところ、以下の回答が寄せられた。

「サイズの変更はしておりません。ただ、『お客様の声をカタチに』というスシローの取り組みの中で、『通常のサイズだとしゃりが多い』『しゃりを少なめに調整できるようにしてほしい』といったお客様からの要望におこたえして、しゃりの量を少なくした『ミニしゃり』のすしを導入しており、タッチパネルのメニューから『ミニしゃり』と記載があるネタを選択して注文できるようにしています」

 フードアナリストの重盛高雄氏はいう。

「久しぶりにスシローを訪問した。前回は今年3月に都市型店舗を訪問したが、そのときに撮影した写真と比較しても、シャリのサイズが小さくなったという印象はない。スシローの課題は、シャリとネタのサイズのアンマッチではないだろうか。見栄えだけでなく食べ応えにも影響が出る。前回訪問した際、咀嚼(そしゃく)時に素材の持つ味わいがほとんど感じられず、どのネタを食べても最初に感じる味わいはほぼ一緒。他の回転寿司チェーンでそのように感じることはない。

 また、スシローの寿司ネタの厚みは他のチェーンと比べて薄めの仕上がりで、物足りなさを感じる。キャンペーン商品やおすすめ商品とまぐろなど定番商品の数皿を注文するだけで、軽く1000円は超えてしまう。回転寿司チェーンは、高級寿司店のような時価ではなく固定価格を武器に成長してきた歴史があるが、素材の持つ本来の味わいを伝える最低限のネタの厚さ・大きさと適正な価格設定が求められている。スシローの定番商品はネタがシャリからはみ出す部分が少ないのも特徴といえよう。

『匠の海鮮巻き重ね』という商品を食べたが、価格以上の体験は得られなかった。今回の訪問でもおなか一杯で満足感を抱えての退店とはならなかった。スシローはアプリで事前に店舗の混み具合がわかるので利便性は高いが、価格妥当性は決して高くはない」

 では、「回転しない寿司」で知られる「魚べい」のほうが寿司のサイズが大きいという声はどうなのか。

「東京都内の魚べいの店舗を訪問した。外国人客も多く見られたが、この店は同チェーンでも珍しく給茶機が配置され、お茶や水はここで受け取る。シャリはほのかに温かみを保ち、一般のすし店同様ネタとシャリの温度差を感じながら寿司を楽しませてくれた。シャリのサイズもスシローとほぼ同じ。ただシャリに温かみのある分、適度な力でネタとともにほぐれて、口の中に味わいが広がる。ネタそれぞれの味を感じさせる温度とネタの厚みは、スシローにはない。ネタのサイズはシャリより大きく、醤油用の小皿があるのもうれしい。また、レシートの表記はスシローは皿の金額と枚数だけだが、魚べいはネタ名が表記されており、何を食べたか備忘録にもなるだろう。

 もし外国人を回転寿司に連れて行くのなら、価格妥当性の点からも、日本の食文化を伝えられるという点からも、スシローよりは魚べいを選んだほうがよいのではないか」

(文=Business Journal編集部、協力=重盛高雄/フードアナリスト)

重盛高雄/フードアナリスト

重盛高雄/フードアナリスト

ファストフード、外食産業に詳しいフードアナリストとしてニュース番組、雑誌等に出演多数。2017年はThe Economist誌(英国)に日本のファストフードに詳しいフードアナリストとしてインタビューを受ける。他にもBSスカパー「モノクラーベ」にて王将対決、牛丼チェーン対決にご意見番として出演。最近はファストフードを中心にwebニュース媒体において経営・ビジネスの観点からコラムの執筆を行っている。
フードアナリスト・プロモーション株式会社 重盛高雄プロフィール

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