リーズナブルさで人気の回転寿司チェーン店。お寿司以外のサイドメニューにも相当なこだわりがあるようで、各社バラエティ豊かな商品をいくつも出している。なかには、お寿司よりもサイドメニューをメインで注文するお客さんもいるほどだとか。
そこで今回は人気寿司チェーン店「スシロー」「くら寿司」「かっぱ寿司」「はま寿司」のサイドメニューを食べ比べ。“定番のサイドメニュー”と、“オリジナリティの高いサイドメニュー”を2品ずつ選出し、チェーン店ごとの比較を行った。
総評で優勝チェーン店も決めているので、ぜひ最後までお読みいただきたい。
スシロー
スシローは、1975年に大阪で生まれた立ち食い寿司屋「鯛すし」に起源を持つブランド。1984年に株式会社あきんどスシローが立ち上げた同ブランドは、直近のデータで国内600店舗以上を持つまでに成長を遂げ、回転寿司業界で1位の店舗数を誇っている。
【えび天うどん/330円(税込、以下同)】
今回、各チェーン店の“定番のサイドメニュー”として選んだのは「えび天うどん」。締めに頼む人も多いこのメニューは、シンプルゆえに各店のこだわりが見えやすいメニューと言えるだろう。
スシローの「えび天うどん」は、丼の直径が15cmほどのミニサイズ。天ぷらはふわっとしていて衣は軽めだが、蓋が閉まって提供されるのでサクサク感はなし。えびの身は小さめ。うどんは太めかつ柔らかめ。つゆは節系の出汁は控えめで昆布出汁がメインの関西風。ネギと薄い蒲鉾が入っている。330円は妥当な価格設定というところか。
【きびなご天ぷら/132円】
スシローの“オリジナリティの高いサイドメニュー”として選出したのは、9月14日から発売になった「きびなごの天ぷら」だ。ネット上でも評判のようなので、その味にも期待が高まる。
揚げたてで届く天ぷらはサクサク。ふんわりとしたきびなごを噛みしめると、うまみと甘味が舌の上に広がり、実に美味。肝のほんのりとした苦味とかすかな塩味が絶妙で、大人向けの一品だ。9cmほどのきびなごが6匹ほど入っており、食べ応えも良し。
くら寿司
次のチェーン店はくら寿司。大阪の堺市で誕生して以来、実に40年以上も愛され続け、直近のデータで国内約500店舗を展開している。「快適・楽しさ」というスローガンを掲げており、各席についた「皿カウンター水回収システム」は、食べ終わった皿を水流で洗い場まで運んでくれるというもの。またこれに連動した「ビッくらポン!」というガチャガチャ機能もついており、子どもも楽しんで利用できるのが印象的だ。
【えび天うどん/350円】
くら寿司の「えび天うどん」は350円と、スシローよりも20円高い。味や具材にどれほどの違いがあるのか気になるところだ。さっそく食べてみよう。
天ぷらの衣は出汁っぽい風味と塩気があり軽めの食感だが、蓋が閉じられているのでサクサク感はなし。えびの身は細め。うどんは細めのツルツル食感で食べやすい。つゆは関西系だが、節系の香りが強めで塩気も強い。印象としては関東系のうどんに近いインパクトを感じた。
【カレースリーミーコロッケ/110円】
くら寿司のオリジナリティを感じるサイドメニューとしてチョイスしたのは、「カレースリーミーコロッケ」。通常であれば捨ててしまう魚の部分をすり身にすることで無駄なく使ったというこのメニュー、どんな味なのだろうか。
2枚セットのコロッケの直径は7cmほど。出来立てで運ばれるので衣はサクサク。中のすり身は意外にもねっとり食感で、魚の風味よりもカレーの風味が強めに出ていた。厚みは1.5cmくらいだが、中身が詰まっているので食べ応えは十分だった。
かっぱ寿司
1983年生まれの人気寿司チェーン店・かっぱ寿司。カッパ・クリエイト株式会社が運営する同チェーン店の店舗数は直近のデータで国内約300店舗と、競合他社に比べて少なめ。しかし、寿司ネタを店舗で切ることで鮮度を保つ、「鮮度切り」と呼ばれる手法を採用するなど品質へのこだわりが強く、根強いファンが多いようだ。
【えび天うどん/385円】
かっぱ寿司の「えび天うどん」は、今回の4チェーン店のなかでは最高額の385円となっている。安さよりも料理へのこだわりを優先する、かっぱ寿司らしい強気の価格設定だが、その実力はどれほどなのだろうか。
天ぷらは小ぶりだが、しっかりと衣にサクサク感が残っており、高めの価格設定もうなずけるクオリティーだった。具材もネギや、魚の風味がしっかりとする厚めの蒲鉾、さらに揚げ玉まで入っており豪華。うどんは太めでもっちり系。つゆは関西系で、節系のうまみより昆布がメインの優しい風味だが、塩気は多少強めな印象を受けた。
【北海道産たらこの茶碗蒸し/220円】
かっぱ寿司の“オリジナリティの高いサイドメニュー”として採用したのは、220円の「北海道産たらこの茶碗蒸し」だ。かっぱ寿司は現在4種類もの茶碗蒸しを取り揃えるなど強いこだわりを感じるが、本品の味はどんな仕上がりなのか。
熱々のうちに一口食べると、プルプルほわほわの食感と出汁のうまみが口の中にパッと広がり、とても美味しい。上に乗ったたらこソースと絡めて食べると、海鮮のうまみが際立ち、味の輪郭が一気に引き締まった。タケノコ、枝豆、椎茸、鶏肉、海老と具材も盛りだくさん。器も大きく食べ応えもあり、220円とは思えない満足度の一品だった。
最後は、株式会社ゼンショーホールディングスが運営するはま寿司だ。牛丼チェーン店「すき家」でお馴染みの同グループが2001年から始めたはま寿司は、業界では後発の存在でありながら、瞬く間に店舗数を伸ばし、直近のデータで国内550店舗以上を有している。
【えびの天ぷらうどん/308円】
はま寿司の「えびの天ぷらうどん」は308円と、今回のラインナップでは最安値。サイズ感も他のチェーン店と変わらないのにこの値段というのは驚きだ。
天ぷらの衣は軽めだが、つゆを吸っているのでサクサク感はない。だが、えびの味が4店のなかで一番感じられたので、インパクトは十分ある。うどんはツルツル系の細麺タイプ。具材はネギのみで蒲鉾はなかった。つゆは関西系となっており、昆布出汁がメインで節系の風味はほぼ感じない。優しい味わいで、締めに最適な味付けと言えそうだ。
【旨だしたこ焼き/220円】
はま寿司のサイドメニューにはたこ焼きがラインナップされている。この「旨だしたこ焼き」は、220円という低価格も相まって、ネット上で評判の高い一品となっているので、いやが応にも期待が高まる。
出来立てをかじると、驚くほどカリカリに焼かれた食感に驚かされる。そんな表面とは裏腹に、出汁の効いた中身はトロトロで、実にうまい。ネットの高評価もうなずける出来だ。ソースは酸味が強めで甘さ控えめ。中のタコは小さいが、満足感は十分感じられた。
総評…優勝はかっぱ寿司
総評として、今回4チェーン店を食べ比べて感じたことをまとめていこう。
「えび天うどん」に関して言えば、かっぱ寿司を除いたスシロー、くら寿司、はま寿司の3チェーン店は、総合的な美味しさの差はそこまでなく、横並びという印象だった。出汁の味わいが“節系”なのか“昆布系”なのか、塩気の強さなどの差はあるが、どれも味はきれいにまとまっており、ここは食べる人の好みによるだろう。
頭一つ抜けていると感じたのは、かっぱ寿司だ。明確な差があったのは“えび天のサクサク感”である。配膳時間によって店舗で差はあるかもしれないが、今回の検証で唯一サクサクの天ぷらを味わえたかっぱ寿司は、他チェーン店と大きな差があったと言えるだろう。値段もかっぱ寿司が他チェーン店と比べて数十円以上高かったが、その強気な価格設定は伊達じゃないということだ。
“オリジナリティのあるメニュー”で言うと、スシローの「きびなごの天ぷら」や、はま寿司の「旨だしたこ焼き」などは、サクサク食感に非常にこだわっており、ぜひ食べてみてほしいおすすめメニューだった。くら寿司の「カレースリーミーコロッケ」に関しては、サステナブルな試み自体は良いのだが、油っぽくどうしてもジャンキーなイメージが抜けなかったので、肝心の味の仕上がりに疑問符が付いた。
そしてここでも、かっぱ寿司の「北海道産たらこの茶碗蒸し」は非常に味のバランスが繊細であり、同時にインパクトも両立させていて、他のチェーン店と比べ頭一つ抜けている印象だった。スシローの「きびなごの天ぷら」やくら寿司の「カレースリーミーコロッケ」は100円台、対するかっぱ寿司の「北海道産たらこの茶碗蒸し」は220円なので単純比較はできないが、価格差を考慮してもかっぱ寿司が優勢。
ということで今回のサイドメニュー比較で優勝を決めるなら、かっぱ寿司に軍配を上げたい。
とはいえ、各ブランド譲らぬこだわりが確かに感じられたのもまた事実だ。値段の安さを取るか、少々お値段がしてもハイクオリティーなものを取るか、本記事を参考にお気に入りのブランドを選んでもらえれば幸いである。
※メニュー情報は2022年9月17日現在のものです。