忙しいビジネスパーソンのお昼休憩時のランチ候補や、仕事後の夕食候補としてありがたい牛丼チェーン店。特に“3大牛丼チェーン”と呼ばれる吉野家、すき家、松屋は、庶民の生活に親しみ深い飲食チェーン店だといえよう。
そんな3社は、既存店単位での8月の売上高、客数、客単価の前年同月比を見ると、わずかながら差が出たようだ。まず売上高は、吉野家が99.4%、すき家が108.1%、松屋が112.3%と吉野家がダウン。続く客数は、吉野家が91.4%、すき家が98.7%、松屋が108.3%と、吉野家、すき家が数字を落とす結果に。最後に客単価だが、吉野家が108.8%、すき家が109.5%、松屋が103.7%と各社ともにプラスに。すべて前年同月を上回ったのは松屋だけであった。
今後の営業に注目が集まる3大牛丼チェーンは、今季も食欲の秋に食べたくなる商品を多数ラインナップしている。だが、中には「これは少し微妙」と思うメニューの存在も……。そこで、今回は「この秋、買うのは要注意な牛丼チェーン商品」を6つ選出したので、レビューしていこう(価格は税込み)。
吉野家/鰻重(一枚盛)/1097円
2022年1月8日付の記事「吉野家・すき家・松屋、不評続出の6品とは?『食感がゴムみたい』と厳しい声も」など、過去に何度か紹介した吉野家の「鰻重(一枚盛)」。前回の記事では「鰻らしからぬプニプニとした食感」と評価を下した本品。しかし、7月1日より新発売した本品の鰻は従来の約1.5倍の大きさがあり、SNS上で注目を集めている。
過去記事の写真と比べてみると、確かに鰻は一回り大きくなったといえる。このように満足度が上がる見た目にはなったが、前回と変わらず課題はある。実際に食べてみた感想としては、確かに鰻のボリュームは増したし、食感もふっくらとしたものに変化していた。ただ、小骨の割合が非常に高く、食べていくうちに骨が口の中に刺さってしまうのが非常に気になった。
また、鰻が大きくなったこともあって、価格が1000円台を突破したこともマイナスな点だ。ファストフード店で1000円以上出すのに抵抗がある人も少なくないはず……。気軽に食べることができた吉野家の鰻重が少し遠い存在になったのが残念である。
吉野家/チーズ黒カレー/511円
2022年4月2日付の記事「吉野家・すき家・松屋の残念すぎる商品6選…黒カレーに『レトルトみたい』の声も」で「レトルトカレーのようだ」と評価した吉野家の「黒カレー」。味自体はスパイスが効いたコク深い味付けだったものの、固形の具材がないために寂しい印象を受けた商品だったが、チーズを追加した「チーズ黒カレー」という商品も存在する。
チーズがどっさりと乗った本品は、もともとのスパイシーさはそのままにチーズの濃厚なコクが加わった味わいへと変化。全体的にまろやかな味付けとなっており、黒カレーよりは贅沢な内容になったといえよう。
だが、依然として他に固形の具はなく、視覚的には黒カレーと変わらないままなので、物足りなさは拭いきれない。黒カレーシリーズには、他に牛肉がトッピングされた「牛黒カレー」(547円)、牛カルビ肉追加の「牛カルビ肉黒カレー」(657円)があるので、こちらの方がボリューム的にも満足がいく商品といえるかもしれない。
すき家/ねぎ塩レモン牛丼(並盛)/550円
2022年8月17日より発売されているすき家の「ねぎ塩レモン牛丼(並盛)」。牛丼の上に青ねぎとすき家特製岩塩ガーリックだれをかけ、さらにその上に皮ごと食べられるレモンを乗せた商品となっている。
ねぎとレモンが入った商品ということもあって、涼しさを感じられる本品。しかし、実食してみると、そのままでは食べられないほどレモンの苦みが強い。食べやすいように砂糖漬けにしているとのことだが、酸味や甘さを置いていくほど苦みが感じられたので、さわやかさとは程遠かった。
レモンを取り除いて食べてみると、ガーリックの刺激的な香りとねぎの瑞々しさ、牛肉の旨味が合わさって非常に美味。レモンは苦みを抑えて、より甘酸っぱさを強調する出来であれば、まだ相性良く食べられただろうが……。
すき家/まぐろユッケ丼/680円
2020年5月5日付の記事「吉野家・すき家・松屋の今春ワースト6!ライザップ牛サラダエビアボカド、NYポーク丼」でも食べる人を選ぶと評価したすき家の「まぐろユッケ丼」。前回記事から2年以上経過したが、食べ方に注意すべきところがあるので再び取り上げたい。
まぐろのたたきがフリスビーに似ていることから「フリスビー丼」とも揶揄されるすき家の「まぐろたたき丼(並盛)」(580円)は、一部のすき家ファンから熱狂的な支持を集める商品ではある。そこで実食してみると、確かにまぐろたたき自体は、まぐろの旨味とやわらかい食感がクセになる味だった。ただ、ユッケジャンタレが甘辛い味だったので、まぐろと合うかと言われると正直微妙。また、付属の特製たれを入れるとしょっぱくなりすぎてしまうので、さらに注意が必要となる。
個人的には、すべて一斉にたれをかけるのではなく、少しずつたれをかけて食べると“味変”感覚で楽しめると思う商品であった。
松屋/牛焼ビビン丼/590円
鉄板で焼かれた牛肉にキムチ、温玉、ネギ、海苔がトッピングされた松屋の「牛焼ビビン丼」。ビビンバのように具材がこんもりと盛られた本品は、食べ応え抜群そうな見た目をしている。
だが、牛肉の味付け自体がかなり濃く、薄味好きの人は少し苦手かもしれない。牛肉以外にもキムチがあるため、辛さが相まって口の中はヒリヒリ。濃さや辛さを中和してくれる温玉は一応あるのだが、別カップに入っておらず、牛肉と一緒の容器に入っているので、食べ始める頃にはすでに崩れてしまっていた……。
残念なポイントとしては、温玉のみならず、海苔やキムチ、ネギなどの具材がそのまま同じ容器に入っていたことだ。容器の節約という事情もあるだろうから仕方ないかもしれないが、できれば牛肉の味付けに合わせて少しずつトッピングして味わいたいと感じた。テイクアウトの際は注意すべきだろう。
松屋/プルコギ定食キムチ/780円
8月30日から発売されている松屋の「プルコギ定食キムチ」。丁寧に焼き上げた牛肉、にんにくの芽、赤と黄色のピーマンをにんにくの効いた「やみつきにんにくソース」にからませた本品は、ピリッとした辛さのキムチも楽しめるボリューミーなメニューだ。
噛めば噛むほどジューシーな旨味があふれ出る牛肉と、風味豊かなにんにくの芽を一緒に口に運べば至福。ごはんがどんどん進んでしまうほど、相性は抜群であった。ソースはにんにくの香り強めで食欲を刺激してくれるため、最後まで飽きることなく味わうことができた。
ただ、にんにくの香りが強いということは、それだけ口臭が強くなることもお忘れなく。ランチで食べて同僚がいるオフィスに戻る場合や、食後に打ち合わせや商談など対面のアポイントがある場合などは要注意だろう。ジャンクな味付けで腹ペコの成人男性なら一気に平らげそうな商品だったが、食後のブレスケアは徹底すべきである。
――以上が「この秋、買うのは要注意な牛丼チェーン商品」だ。各牛丼チェーンはリーズナブルな価格でおいしい商品を提供しているが、中にはコスパが悪い、味が微妙、と思うメニューも少なからずあるもの。満足のいく牛丼チェーンライフを送るために、本記事が参考になれば幸いである。
※情報はすべて9月26日時点のものです。