食費はできれば低コストで、なるべく美味しい食材を手に入れたいと思うのが消費者心理だが、そんな願いを叶える格安スーパーがある。それが関東を中心に展開している格安スーパーの「ロピア」と「オーケー」だ。この2社はそれぞれ、高品質と低価格の商品を提供するというモットーを掲げており、関東ではひときわ知名度の高いチェーン店である。
ロピアの特色は、肉類や青果類などのジャンルによって、売り場ごとの責任者が主導となり、買い付け、陳列、価格設定などを一貫して行っていることだ。スーパーのチェーン店では一般的に、店舗全体を店長が統括しているが、ロピアは売り場ごとの専門性を高め、地域ごとに客のニーズに合った商品を多く取り揃えることに注力している。現在、約70店舗を構えており、関西にも進出するなど徐々に規模を拡大している人気店である。
一方、オーケーは関東に約140店舗を展開し、会員特典として3%の割引を行うといった特徴も兼ね備えている。そんなオーケーのスタンスは、正確で正直な商品情報を提示していることと、「地域一番の安値」を目指していることだ。そしてオーケーでは、オネスト(正直)カードというポップを掲げた商品がまれにあり、そのポップには例として次のように書かれている。
「6月21日から発泡酒が値下げになります。お急ぎでなければ、6月21日までお待ちください」
「長雨の影響で、レタスの品質が普段に比べ悪く、価格も高騰しています。暫くの間、他の商品で代替されることをお薦めします」
こういった消費者にとって有益な情報を伝えてくれる点は、ほかにはない魅力だろう。しのぎを削り合っている「ロピア」と「オーケー」。実際にどちらのほうがより安く、より美味しい商品を取り揃えているのだろうか。そこで今回はこの両店で、「牛肉」「鶏肉」「牛乳」「きゅうり」「キャベツ」の5品を購入。実食してコスパや味を徹底比較してみた。家庭でよく使う5品を比較した結果、日々の買い物でよりおトクに買えるのはどちらのスーパーなのか。ぜひ参考にしていただきたい。
※情報はすべて5月11日時点のものです。
※今回商品を購入した店舗は「ロピア平井島忠ホームズ店」「オーケー平野店」です。
※記事内で記載した商品の全国平均価格は、農林水産省発表の「毎日の卸売価格」を参照しています。
「牛肉」対決
・「ロピア」国産牛切り落とし岩手県産 439g/1184円
まずロピアだが、400gを超える多量パックで売られている肉類が多かった。約400gの国産の牛肉が1100円台で買えるという点から、3人以上の家族やキャンプなどで調理する際に便利で、コスパは高いといえよう。
肉の味を確認するため、フライパンで焼いて味付けは塩こしょうのみにしたところ、程よくジューシーで、美味しさも申し分なかった。100g換算で約270円のため、大量のお肉をリーズナブルに買いたいという人なら、ロピアで購入しておけばひとまず間違いなさそうだ。
・「オーケー」和牛黒毛 A5 肩肉切り落とし埼玉県産 199g/1200円
ロピアの大容量パックに比べると200g前後の商品が多く、ボリュームは少な目な印象だった。ロピアとの一番の違いは、国産の牛肉に限るとA5ランクの黒毛和牛しか売っていなかったことだ。同じくフライパンで焼いて塩こしょうのみで味付けしたところ、A5ランクということもあり、肉自体に余分な脂身が少なく、噛めば噛むほど肉の風味が広がって非常に美味だった。
ただし価格は100g換算で約603円とロピアの倍以上となっている。とはいえ、ロピアが普通の国産牛だったのに対してこちらはA5ランク和牛という質の違いがあるため、ロピアより高いのは致し方ないところか。もちろんそれだけ高品質なお肉ということだろうし、美味しいのは間違いない。
【比較結果】
コスパで選ぶならロピア、味で選ぶならオーケー、ということで引き分けとした。
「鶏肉」対決
・「ロピア」みなもと鶏 国産若鶏モモ肉国内産(2枚)772g/982円
「みなもと」がつく肉はロピアが厳選したシリーズだという。牛肉と同じく、こちらも低価格で多量に売られている鶏肉が多かった印象。モモ肉1枚がかなり大ぶりで厚く、非常に食べ応えがありそうなものばかりだった。今回は2枚入りとなっている皮ありのものを購入。塩こしょうして焼いてみたところ、厚みがある分とてもジューシーで食感は柔らかく、美味しくいただけた。
100g換算で約127円。肉質はよく、2枚入って1000円以下ならコスパは十分。牛肉同様に低価格でたくさんの量がほしいならロピアで間違いないだろう。たとえば、自宅で唐揚げをつくるときやBBQの際にはおすすめだ。
・「オーケー」国産若鶏(皮なし)もも肉 262g(1枚)/353円
オーケーでは1枚のみで売られていた鶏もも肉を購入。牛肉同様、一品料理で使い切れそうな量なので、使いたい分だけほしいという場合はオーケーのほうがよさそうだ。こちらも塩こしょうして焼いたところ、ジューシーで鶏肉本来の味わいを感じられたが、ロピアに比べよくも悪くも嚙み応えがあった。100g換算で約135円のため、僅差ながらロピアよりお高め。コスパでもロピアよりやや劣っていることになる。
【比較結果】
コスパ・味ともにロピアの勝利としたい。
「牛乳」対決
・「ロピア」古谷乳業 成分無調整 酪農牛乳1ℓ/173円
こちらは以前ロピアで販売していた「最上の郷」という商品に代わって発売された、成分無調整の牛乳だ。口当たりはまろやかで、さらっとしている。牛乳独特の臭みもそこまでなかったので、牛乳が苦手な人でも比較的飲みやすいだろう。しかし、さらっとしている分、コクは後述するオーケーのものよりは少なかったように感じた。
牛乳をそのまま飲む場合やコーンフレークにかけて食べる場合などは、ぜひともおすすめしたい。牛乳1L当たりの全国平均価格は289円なので、価格もかなり良心的だと言える。
・「オーケー」トモエ乳業 酪農牛乳1ℓ/175円
こちらも成分無調整の牛乳で、まろやかさがあり、ロピアの牛乳より強いコクを感じた。飲み心地はずっしり重めで、牛乳独特の匂いも強く、ロピアに比べると搾りたての牛乳の味に近い印象を受ける。牛乳が苦手な人がそのまま飲むのなら、ロピアのもののほうが飲みやすく感じるものの、こちらはこちらでコクが強めなので、シチューなど牛乳を使った料理に適しているかもしれない。価格は全国平均価格よりは圧倒的に安いが、ロピアにわずかな差で負ける結果となった。
【比較結果】
価格ではロピアが僅差で勝利。味に関しては個人的な好みはあるが、飲みやすいという点でロピアの勝利とする。
「きゅうり」対決
・「ロピア」埼玉県産きゅうり1本/63円
かじってみた食感の感想としては、シャキシャキとしていて心地よい固さ。鮮度も申し分ないぐらいフレッシュだ。サラダなど生のまま食べる際には、食感がよりよく味わえるので適しているだろう。大きさに関しては、店頭に並んでいるものにサイズのばらつきはあまりなく、全体的なアベレージは比較的大きめのきゅうりだという印象。全国平均価格はきゅうり1本(100g)が約57円。ロピアのものは平均よりも少々高値だが、それはサイズが平均よりも大きめだからだろう。
・「オーケー」宮崎県産きゅうり1本/51円
ロピアのきゅうりに比べると水分量が多めでみずみずしく、食感も柔らかい。すっきりとした苦みが感じられ、きゅうり好きなら納得の味わいだろう。歯切れがいいので、生のままサラダにしたり、浅漬けにしたりするのにも使えそうだった。大きさはロピアのものと同じくらいで、店頭に並んでいるものにも、さほどサイズのばらつきはないように感じた。価格は全国平均の57円より安く、サイズも大きめのため、コスパは抜群といえる。
【比較結果】
価格・味ともにオーケーの勝利とする。
「キャベツ」対決
・「ロピア」愛知県産大玉キャベツ1個/193円
素材そのものの味で比較するため、何もつけずにそのまま食べてみたところ、キャベツ本来の甘みが感じられて美味しい。しかし、商品棚に陳列されていた段階で、若干傷んでいるものが多かったように見えた。もちろん、足を運んだお店のこの日に入荷されていたキャベツが、たまたまコンディションがいまいちだっただけかもしれないが、店頭で選ぶ際は傷みがあるものは避けるなど、注意が必要かもしれない。ロピアのキャベツは一般的な大きさだったが、キャベツ1個(1000g)の全国平均価格が217円なのでそれよりも24円も安く、買い求めやすい価格であるのは間違いない。
・「オーケー」愛知県産キャベツ1個/213円
ロピアのものよりさらにシャキシャキ感があり、生でも美味しく食べられた。傷みもなく、至って新鮮なイメージ。歯応えも見栄えも問題ないので、サラダにしてそのまま食べるのに適しているように思える。オーケーのキャベツも一般的な大きさで、全国平均価格の217円よりも少々安いが、残念ながら安さで考えるとロピアのほうがお得だった。
【比較結果】
味はオーケーだが、価格の点ではロピアの勝利で引き分けとしたい。
コスパ面ではロピアが勝利、ただオーケーにも優位点がある
今回のロピアvs.オーケーの5品対決は、ロピアが2勝1敗2引き分け。ロピアは、肉類がほかのスーパーより優れていると感じた。たくさんの量を安く購入できる点と、国産も外国産も肉の種類が豊富。そもそも肉の売り場がほかのスーパーの売り場より大きかったように感じる。それだけ肉に力を入れているのだろう。
一方のオーケーの強みは、品質のよさにこだわりが見られたこと。国産の牛肉はA5ランクのみ販売している点や、野菜に関しても今回の調査では傷んでいるものは特に見受けられなかった。全体的に品質がいいが、その分価格は高くなってしまっていると思われる。
単純に量に対する価格という意味では、コスパはロピアのほうが優勢だったが、オーケーにしかないメリットもあった。オーケーでは、会員になると3%引きで全商品(※酒類を除く食料品)を購入できるというストロングポイントがあるのだ。毎回オーケーで買い物をする人からすると、大変ありがたい特典といえるだろう。
コスパや肉の豊富さならロピア、生鮮食品の質の高さと割引ならオーケーというのが今回の最終的な結論だ。生活圏内にロピアもオーケーもあり、どちらで買い物するか迷った際に参考にしていただければ幸いである。
(取材・文=A4studio)