手頃な価格で気軽に食事を楽しむことができる牛丼チェーン。中でも「吉野家」「すき家」「松屋」は圧倒的な知名度を誇り、“3大牛丼チェーン”と呼ばれることが多い。そんな3社だが、企業の方向性やこだわりはそれぞれ異なる様子。
吉野家は、ショートプレートという希少な部位の牛肉を秘伝のたれで煮込むという、牛肉に対するこだわりが強く感じられる企業である。すき家は、牛丼のみならず海鮮丼やカレーなどバラエティ豊かなメニューを展開しており、ファミリー層のシェア獲得を重視しているのだろう。松屋は独自の定食やセットのメニュー開発に勤しみ、日々消費者を驚かせている。
そんな3大牛丼チェーンは、今春も幅広いメニューを展開し話題を集めている。しかし、目を見張るおいしそうなメニューが数多くある一方で、人によっては微妙だと感じるものも……。そこで今回は、“この春要注意な牛丼チェーンの商品”を6つ選出し、レビューしていく。
吉野家/黒カレー(並盛)/386円(税込、以下同)
吉野家から2月21日に販売開始された「黒カレー」。2017年5月、21年4月と過去2回販売されており、今回で3回目となる。公式サイトでは「15種のスパイスを配合した本格カレー」と説明されているメニューだが、どうやら物足りなさを感じる人もいるようだ。
というのも、本品はカレールー以外に具がないのである。SNSでも「ルーは美味しいけど具がないのが残念」「レトルトのカレーみたい」という声が多く見受けられた。
実食してみると、カレールー自体はピリッとくる辛さのコク深い味付けとなっており、どんどんご飯が進むおいしさであった。だが、確かに具がないためか、絵面的にもボリューム的にも寂しい印象を受ける。味自体はおいしいだけに、少し残念な気持ちになる商品なのかもしれない。
吉野家/キムチ豚丼(並盛)/502円
続いて紹介するのは、21年1月12日に販売開始された「キムチ豚丼」だ。
もともと吉野家の「豚丼」は04年3月~11年12月まで販売されており、16年に復刻したものの、特製甘辛タレを用いた新味の豚丼として販売され、元祖豚丼の味は店から消えてしまっていた。しかし、元祖豚丼の復活を強く望む消費者の声を受け、04年当時のレシピを基にリニューアルした豚丼を21年に販売したのだ。
そんな豚丼にキムチを合わせたのが本品である。甘く旨味のある豚肉に、だしの旨味がたっぷりなキムチがからんで美味。SNS上でも「キムチの辛さと豚肉の甘さがマッチしている」という声があり、その完成度に満足している消費者は多そうだ。
だが、一方でキムチが少し辛すぎると訴える声もあった。「舌がヒリヒリする」「唐辛子がのどにつっかえてむせた」など、辛味が強すぎて食べ切れないという声もSNS上ではちらほら。人の味覚はそれぞれのため、辛い物が得意な人には絶品なのだろうが、とにかく辛い物が苦手な人は注意すべきメニューであろう。
すき家/とろ~り3種のチーズ牛丼ライト(お肉並盛)/650円
すき家の「とろ~り3種のチーズ牛丼ライト」は、ご飯の代わりに豆腐とサラダが追加された「牛丼ライト」シリーズのひとつ。ヘルシー志向のメニューとして販売中の「牛丼ライト」だが、本品は高カロリー食材であるチーズを使用しているのが気になるところ……。
SNS上でも「痩せたいのか太りたいのかわからないメニュー」と言われてしまっている本品。公式サイトで栄養成分を調べてみると、本品のカロリーは610kcalなのだが、「牛丼(並盛)」は733kcalのため、わずか123kcalしか違わないのである。
とはいえ、肝心の味はチーズと牛肉の相性が良く、おいしくいただける。“ご飯を抜いたチーズ牛肉が食べたい”という人には向いているメニューなのかもしれない。
すき家/にんにくファイヤー牛丼(並盛)/520円
すき家から1月26日より販売された「にんにくファイヤー牛丼」。ほくほくした食感のフライドにんにくに、ガーリックと唐辛子入りの特製フレークがかけられたおいしそうなメニューなのだが、問題は食べ終わった後に起こる。
SNSで実際に食べた人の反応を見ると、「旨いがにんにくと唐辛子の匂いが口の中に残る」「美味しかったが匂いがきつすぎ」と、おいしいけれど食後の匂いを気にする必要があるという感想が多く見受けられた。
実食してみると、にんにくのパンチが効いた旨味がガツンと口の中で味わえるため、食欲がどんどん刺激される。特製フレークは辛めの味付けであり、食べ進めていくうちにクセになっていき、箸が進み、あっという間に平らげてしまった。
だが、SNSの評判通り、食後に匂いが強く残るため、人と会う用事がある前に食べるのはおすすめできないだろう。
松屋/厚切り豚生姜ライスセット/670円
21年7月23日付『吉野家・すき家・松屋、今夏の残念メニュー6品…肉&うなぎの量に不満噴出で“名前負け”』でも紹介させていただいた松屋の「厚切り豚生姜焼ライスセット」。
前回は“味が濃い”との評価を下したが、他にも気になる点を見つけたので改めて紹介していきたい。なお、今回はサラダ抜きの「厚切り豚生姜焼ライスセット」を購入したが、中身はほぼ一緒なため、こちらをレビューしていくことにする。
今回気になったのは、ズバリ肉の食感だ。本品はメニュー名の通り、厚切りされた豚生姜焼が売りなのだが、かなり分厚く、かつ弾力があまりない食感のため、SNSなどでは噛み切れないという声が続出しているのである。
実食してみたが、確かに一口で食べ切ることが難しく、噛み終わるまで時間がかかってしまうほどだった。とにかく噛み応えがある肉が好きだという方にはおすすめかもしれないが、硬い肉が好みでない人には要注意だろう。
松屋/カルボナーラハンバーグライスセット/690円
松屋から2月17日より販売された「カルボナーラハンバーグライスセット」。クリームのまろやかなコクが堪能できるカルボソースにからめられたハンバーグが絶品と言われている本品だが、SNS上では「そもそもクリーム自体の旨味を味わえない」と批判する声も……。
実食してみると、カルボソースのコクとハンバーグの旨味が見事に組み合わさっていて美味だった。しかし、カルボソース以上ににんにくの風味が強いため、クリームの味を期待していた人からすると、少々期待はずれに感じるかもしれない。
全体としてはクオリティの高いメニューなのだが、もっとクリームの味わいを強調させても良かったのではないか、という印象がある仕上がりであった。
――本記事で紹介したメニューはいずれもおいしいと絶賛する人もいるのだが、味覚の好みやシチュエーションによっては要注意なポイントがあった。もちろん、本記事の内容は一意見でしかないので、気になった人は自身で実食してみてほしい。
※情報はすべて3月30日時点のものです。
(文=A4studio)