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貸借対照表上の問題
今回の問題は、財務面で東芝の屋台骨を揺るがすような事態に発展しかねない。「過去の決算でかさ上げされていた営業利益の総額が2000億円規模に膨らむ可能性がある」(7月9日付毎日新聞)という事態になったことで、新たに深刻な問題が浮上する恐れが出てきている。
水増しした利益を修正することで、「最悪の場合、玉突き的に貸借対照表上の繰延税金資産を取り崩す必要に迫られて、連結自己資本や純資産は大幅に目減りする恐れが出てくる」(公認会計士)からだ。
損益計算書上の修正額は2000億円でも、貸借対照表上の影響は6000~7000億円規模に膨らんでしまう可能性が出てくるのだ。東芝が取引金融機関に対して「総額7000億円」(9日付読売新聞)ともいわれる緊急融資枠の設定を要請しているのは、そうした事態に対する備えとみるべきだろう。
歴代社長のクビが2つや3つ飛ぶ程度では、済まなくなるかもしれない。
(文=山口義正/ジャーナリスト)
●山口義正
ジャーナリスト。日本公社債研究所(現格付投資情報センター)アナリスト、日本経済新聞記者などを経てフリージャーナリスト。オリンパスの損失隠しをスクープし、12年に雑誌ジャーナリズム大賞受賞。著書に『サムライと愚か者 暗闘オリンパス事件』(講談社)。
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