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山田修「展望! ビジネス戦略」

東大、「強靭な能力を身につける」講座が波紋 宗教、宇宙、生命…超ハードで世界に類なし

文=山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役
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究極のプログラム「東大EMP」

 日本で社会人が学べるプログラムの中で、突出しているのが「東京大学 エグゼクティブ・マネジメント・プログラム東大EMP)」だ。

 東大EMP事務局によると、「40代というキャリアの折り返し点で、強靱かつ新たな思考能力を身につける」ことを目的としており、「MBAを超えた能力の醸成を目指している」(同)そうだ。

 東大EMPは4月と10月に開講され、半年間の毎週金曜日と土曜日の全日に授業がある。授業料は約600万円で、現在は第13期が開催されている。場所は、東京大学本郷キャンパスの赤門を入ってすぐの伊藤国際学術研究センターという素晴らしい施設だ。

 同センターは、イトーヨーカ堂グループの創始者である伊藤雅俊氏夫妻によって寄贈されたものだ。また、元マッキンゼー・アンド・カンパニー東京支社長だった横山禎徳氏が、同プログラムの企画・推進責任者を務めている。

 東大EMPの授業は1コマ105分で、原則としてすべて異なるテーマが展開される。スピーカーは、現役の東大教授が圧倒的に多い。クラスの構成は「宗教」「国際・外交」「医療・健康科学」「生命科学」「脳科学」「IT」「メディア論」「物質科学」「宇宙・素粒子論」「建築」など、社会科学から自然科学まで幅広い。

「マネジメント知識」に分類されるコマもあるが、数が少ない上、興味深いことにおおむね人気がない。知識人は、自分の知らないことを知りたがるということだろう。

 上記のような分野を、現役の一流学者が講義する。そして、それぞれのクラスでは課題図書が用意される。当然、そのスピーカーが著した専門書だ。参加者は、このような授業を半年間で約150コマこなすそうだ。つまり、150冊の専門書を読むことになる。

 毎期の定員は25名で選考があり、いつも満員になるという。参加者の構成は「大企業の中堅10名、ベンチャー・中小企業のトップ5名、中央・地方官僚5名、プロフェッショナル5名」が典型だという。みなさん、自費で参加されているのだろうか。

 私はこの説明を聞いて本当に驚き、興味を持つと共に「学びの快楽、ここに極まれり」と思った。こんなプログラムは、世界中を見渡してもほかにないだろう。

 だが、問題は「では、修了すると何が得られるのか」ということだろう。東大EMPを修了しても、MBAなどの学位や資格は与えられず、ただ修了証がもらえるだけだ。そして、驚いたことに“評価もつかない”という。つまり、通信簿がないということだ。

山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役

山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役

経営コンサルタント、MBA経営代表取締役。20年以上にわたり外資4社及び日系2社で社長を歴任。業態・規模にかかわらず、不調業績をすべて回復させ「企業再生経営者」と評される。実践的な経営戦略の立案指導が専門。「戦略カードとシナリオ・ライティング」で各自が戦略を創る「経営者ブートキャンプ第12期」が10月より開講。1949年生まれ。学習院大学修士。米国サンダーバードMBA、元同校准教授・日本同窓会長。法政大学博士課程(経営学)。国際経営戦略研究学会員。著書に 『本当に使える戦略の立て方 5つのステップ』、『本当に使える経営戦略・使えない経営戦略』(共にぱる出版)、『あなたの会社は部長がつぶす!』(フォレスト出版)、『MBA社長の実践 社会人勉強心得帖』(プレジデント社)、『MBA社長の「ロジカル・マネジメント」-私の方法』(講談社)ほか多数。
有限会社MBA経営 公式サイト
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