「儲かりそう」で商品を選んではいけない…輸入ビジネスの大事なコツ
がんばって良い商品をつくっているのに、なかなか売れない。良いサービスを提供しているはずなのに、客が定着しない。
「がんばっているけれど利益が上がらない」という経営者や個人事業主の悩みは、今のビジネスの限界を示しているといえる。高度経済成長期の「つくった分だけ売れる」前提のビジネスモデルではなく、新たな仕組みをつくり上げないといけないのだ。
では、そのために必要なことは何か。ジェトロ認定貿易アドバイザー(現:AIBA認定貿易アドバイザー)の資格を持つ輸入ビジネスアドバイザーの大須賀祐氏は、著書『価格はアナタが決めなさい。』(集英社)で「価格を自分で決められる立場になる」という解を私たちに提案する。
この連載では、本書をもとに大須賀氏が提唱する「B to B輸入ビジネス」について迫っている。差別的優位性を高め、自分で価格を決められる立場になるための手段として、「B to B輸入ビジネス」はうってつけ。海外の展示会に赴き、「これは!」と思う商品を見つけ、独占販売権を結ぶ。ただし、いきなりやるのは失敗するので、まずは試しに国内の展示会で商品を出してみる。大きなコストもかからないので、中小企業の新規事業や、個人で事業を始めたいときに効果を発揮するのが特徴だ。
そして、この輸入ビジネスの肝は、いかに日本で売れる商品を見つけ出すかである。今回は、そのコツをご紹介しよう。
「儲かりそう」で商品を選んではいけない
輸入ビジネスを始めたばかりだと、「どんな商品が売れるのか……」と悩むことが多いだろう。
この場合、初心者ならば「自分の好きなジャンル」「よく知るジャンル」の商品を選ぶと良い。なぜなら、すでに知っているものであれば価値を見誤る可能性が低くなるからだ。また、「自分ならこのくらいの価格でも購入する」という基準点を設けることもできる。
一方で「これは儲かりそうだ」という視点だけだと、その人が知らないだけですでに日本にある商品を選んでしまうほか、相場からあまりにかけ離れた値付けをしてしまうこともある。こうした値段付けをすると、売れにくくなってしまうかもしれないのだ。
また、自分には得意といえるほどのジャンルがないという人にも使える、もうひとつの目安を紹介しよう。そのキーワードは「C・L・V」だ。
C=Compact(小さい)
L=Light(軽い)
V=Value(価値がある)
この「小さくて、軽くて、価値がある」商品は当然、輸送費も安くなる。そのコスト削減は、実際に商品を輸入する際に大きなメリットとなる。
輸入ビジネスは「タイムマシンビジネス」である
大須賀氏は、「輸入ビジネスはタイムマシンビジネスだ」と説明する。これは、まさにこのビジネスの本質を突いている言葉である。
「タイムマシン」に乗れば、私たちは過去にも未来にも行くことができる。そこで見つけた珍しいもの、新しいもの、まだないものを、現代に持ってきて売るのがこのビジネスの特徴である。もちろん、「タイムマシン」は比喩的な表現だ。もう少し詳しく説明しよう。