日韓関係が悪化するなか、日本政府観光局が8月21日、7月の訪日外国人客数(推計値)を発表した。韓国からの旅行者は7.6%減少して56万人、2019年1-7月の累計では中国(558万人)に次いで442万人で2位、前年度比で4.3%の減少となっている。
韓国からの旅行者は旅行代理店を経由するいわゆるパックの団体旅行タイプと、個人が直接航空会社に申し込む個人旅行タイプがあり、個人が全体の87%、団体ツアーは全体の13%程度となっている。
「今年は団体ツアーが減少しているうえにウォン安になり、韓国からの訪日客が減少したと分析しています」(観光局関係者)
問題はそれだけではない。徴用工判決をめぐる問題をきっかけに日韓関係が悪化。日本が韓国を輸出管理上のホワイト国から外したことから、韓国の文在寅政権が激怒。同政権が先導するかたちで日本製品の不買運動が拡大。訪日観光も大きなターゲットとされている。すでに長崎県の対馬、北海道の登別、福岡県の博多といった地方都市の一部では大きな影響が出ているといわれている。
しかし韓国人の訪日が激減したことで、果たして日本経済全体が大きな打撃を受けたのか。ANAの広報担当者はいう。
「韓国便については若干影響が出始めてはいますが、韓国便は全体の2%程度。ビジネス目的のお客様が多く、影響があるといっても微々たるものです。LCC(格安航空会社)のピーチ・アビエーションはレジャー目的のお客様が多いですから、ウォン安の影響などもあり多少影響は出ていますが、数億円程度だとみています」
JALも「国際輸送実績を見てみると、4月から7月まで前年度割れということにはなっていないので、影響はほとんどないと考えています」(同社広報担当者)という。
メディアでは韓国人に人気の高い九州が大打撃を受けていると報じられている。なかでも釜山と福岡を結ぶ連絡船を運営する九州旅客鉄道(JR九州)は、その影響が少なくないはずだ。
「確かに連絡船は8月9日から18日までのお盆の時期は、韓国人のお客様が前年度比で30.5%となり、全体でも前年度比の53.4%となりました。1-7月は前年の2割減、8月トータルで4割減です。しかし連絡船の収益はグループ全体の収益から見ればそれほど大きなものではありません。むしろJR九州の外国人の利用状況を示すJR九州レールパスは他の外国人の利用が増えて、グループ全体としての収益はトントンという状態です」(JR九州広報担当者)