このほかホテルへの影響も限定的だ。
「延べ宿泊者数でみてみると、韓国人の訪日客は国別でみると3位で、4月が8.5%のマイナス、5月が6.5%のマイナスとなっています。しかし外国人全体では前年比プラス。韓国人のマイナス幅が20%を超えるくらいにならないと、日本経済全体に対する影響は少ないと思います」(観光庁関係者)
訪日客数が多いにもかかわらず、韓国人旅行者の経済的な影響が小さいのは、その消費額にもよる。消費動向調査では2019年4-6月(一次速報)で韓国からの訪日客一人当たりの消費額は6万9013円と、中国の22万7221円の3分の1以下。香港の15万4910円、台湾の12万2831円と比べても低いほか、全国籍・地域のなかでももっとも低い。中国からの訪日客数は(1-7月)13.1%に増加しており、消費額全体も大きく伸びている。
影響受ける韓国航空業界
一方で韓国企業への打撃は大きい。
「韓国からの旅行者の多くはLCCを使うようで、日本のピーチを除けば、LCCの韓国便はほとんどが韓国航空会社の就航便です」(航空業界に詳しい事情通)
そのため韓国航空会社への影響は大きい。もっとも日本便が多いといわれる「エアソウル」は、8月13日に運航中の5つの日本路線の運休や減便計画を発表。9月16日から富山線を運休、大阪線を週14往復から週9往復に減らし、米子線は週6往復から週3往復に減便。10月27日から熊本線、宇部線を運休する。エアソウルは全路線の60%以上が日本路線で、売上の半分以上を稼いできたが、収益が大きく圧迫されることになる。
ティーウェイ航空は2019年4-6月決算の赤字を受けて佐賀、大分、熊本、鹿児島など11の路線を運休、減便。大手航空会社の大韓航空も19年4-6月期決算で3808億ウォンの最終赤字となり、日本路線の整理を決断。9月3日から釜山-札幌便。9月16日には釜山-大阪便、11月からは済州-成田便、済州-大阪便を運休する。
さらにアシアナ航空も釜山-那覇便を8月23日から10月末まで運休する。韓国の大手旅行会社、ハナツアーは日本の予約が7月は前年同月比36%減、8月が同80%減。今期は最終利益では13億円の黒字見通しだったのが一転、9億6500万円の赤字に転落する見通しとなっている。