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脱小売化するイオン
一方、イオンの場合は、創業・岡田家の経営方針もあり、また現実的な選択の可能性としてGMSの事業売却はないだろう。
しかしイオンをグループ総体としてみると、実は小売業ではないのだ。前述したようにGMS事業はすでに赤字事業だ。代わりに15年2月期で金融事業が530億円、ディベロッパー事業が430億円、その他が300億円の営業利益を叩きだしている。
ディベロッパー事業での主体は、イオンモールに代表されるショッピング・センターの開発・運営だ。GMSとしてのイオンを核テナントに置くことにより、多くの小売業にテナントとして入ってもらい、家賃収入を稼いでいる。イオンのディベロッパー事業は、06年から営業利益ベースで安定的に400億円強を生み出し続けている。
イオンモールをどこかに新しく開設するとして、GMSであるイオンはフラッグシップとして欠かせない。トータルのビジネス戦略としては、テナント募集の撒き餌という性格のほうが強いのではないか。イオングループは不動産開発の企業グループになったととらえるほうが、利益構造的には理解しやすい。
(文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント)
※ 『間違いだらけのビジネス戦略』(クロスメディア・パブリッシング/山田修)が11月5日発売予定!本連載過去記事が一冊に。
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