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セブン&アイが抱える深刻な火種 セブン加盟店の不満噴出、傘下企業の深刻な経営不振

文=田沢良彦/経済ジャーナリスト

セブン&アイが抱える深刻な火種 セブン加盟店の不満噴出、傘下企業の深刻な経営不振の画像1セブン-イレブンの店舗
 セブン&アイ・ホールディングス(HD)の鈴木敏文会長が「第二の創業」と位置づけているオムニチャネル事業(以下、オムニ事業)が、この10月からいよいよスタートする。オムニチャネルとは実店舗、ネット通販、カタログ通販などあらゆる販売チャネルの統合により、「いつでもどこでも買い物ができる」仕組みのこと。

 セブン&アイHDは傘下にコンビニエンストア、スーパー、百貨店、通販などさまざまな業態の販売チャネルを100社以上擁している。この販売チャネル数は「小売業日本一」のイオンをはるかに凌駕し、「世界一の流通コングロマリットを形成している」(証券アナリスト)といわれる。

 ところが、これまでは販売チャネルごとに個別の事業展開をしていたため、「販売チャネル同士の相乗効果はほとんどなく、コングロマリットのメリットを生かせていなかった」(同社関係者)。そこで10月から開始するオムニチャネル事業では専用の通販サイトを新たに立ち上げ、100社以上ある販売チャネルの商品を一元的に取り扱い、各社の顧客情報も統合する。これにより「15年2月期は約1900億円だった通販事業の売り上げを16年2月期に2000億円の大台に乗せ、早期に売り上げ1兆円を目指す」(同社関係者)という。

 このオムニチャネル事業の手足になるのが、全国に約1万8000店(15年8月末現在)あるコンビニのセブン-イレブン(以下、セブン)。ネットで注文した商品は基本的に店頭での受け渡しになるが、要求があれば店員が宅配する。高齢者などネット注文が苦手な客には店員が店頭や客先でタブレット端末に商品を示し、注文を代行する。これによりコンビニはネット通販の単なる受け渡し場所ではなく、「営業拠点」に変身する。従来の「待ちの営業」から「攻めの営業」に転じ、コンビニの日販(1店舗1日当たり平均売上高)も飛躍的に拡大する。

 セブンにとっては良いこと尽くめのオムニ事業だが、そのゆく手に早くも暗雲が垂れ込めている。オムニ事業の中核的役割を担う予定のニッセンHDの深刻な経営不振だ。流通業界内でも「業績の足を引っ張っているニッセンの経営を早急に立て直さなければ、オムニ事業の成長シナリオが狂う」と懸念の声が聞かれる。セブンはいったいどこでボタンを掛け違えたのか。

セブンの通販事業赤字要因に

 ニッセンは8月17日、15年12月期連結決算の業績下方修正と、希望退職者募集を含む「経営合理化策」を発表した。業績下方修正は売上高を当初予想(15年2月9日発表)の1776億円から8.8%減の1620億円へ、営業損益は同56億円の赤字から66億円の赤字へ、純損益は同55億円の赤字から119億円の赤字へ。最終赤字は当初予想から2倍以上に拡大した上、3期連続の赤字になる見通しだ。

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