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セブン&アイが抱える深刻な火種 セブン加盟店の不満噴出、傘下企業の深刻な経営不振

文=田沢良彦/経済ジャーナリスト

 ところがニッセンの経営はセブンの買収前から最終赤字に転落。「セブン傘下の小売店客を当てにしただけで業績回復を図れる状態ではなかった。ビジネスモデル自体の老朽化が進んでいた」(業界関係者)。

 ニッセンはネット通販への対応が常に後手に回り、価格競争力の低下に加え、業績好調時に目立たなかった商品開発、顧客管理、在庫管理、需要予測などあらゆる能力の低さが露わになってきた。消費行動の変化にも対応できなかった。たとえば「従来は残暑が厳しい9月でもカタログを発行すれば冬物衣料品が売れた。それが12年頃からまったく売れなくなった」(同社関係者)という。

 近年はファストファッション専門店の増加やネット通販の普及で、消費者はいつでもどこでも衣料品を買えるようになった。必然的に「今年の秋は残暑が厳しいからまだ夏物で大丈夫。寒くなってきたから冬物を買おう」と、気候の変化を感じてから必要な衣料品を買う傾向が強まっている。ニッセンの会員も、かつてのようにカタログを見て2カ月も3カ月も先の季節物を買わなくなった。

 ニッセンの通販事業の売り上げの3割超がいまだにカタログ通販。総発行部数が年間2億冊を超えるといわれるカタログ印刷費も半端な額ではなく、しかも売り上げ増に寄与しない。紙媒体関連経費が要らないネット通販専業のアマゾンや楽天などと収益力でも差がつく一方だった。

「カタログ通販という老朽化したビジネスモデルに起因する商品開発、顧客管理、在庫管理、需要予測などの能力の低さを、セブンが買収時に軽視しすぎていたのではないか。オムニ事業開始直前になってその欠陥に気がついた」(業界関係者)

セブン加盟店の不満

 オムニ事業のゆく手に垂れ込む暗雲は、実はニッセンだけではない。手足となるセブンの現場にも垂れ込めている。
 
 例えば、都内のある加盟店オーナーはネット上で「本部はネット通販の手数料収入も新たに入るなどメリットは強調するが、店側の業務負担増える問題などには触れない。オーナー同士の集まりでは期待より不安の声が強い」と懸念を示している。

 ネット通販市場でアマゾンと楽天の寡占化傾向が強まるなか、オムニ事業という新しいネット通販コンセプトを掲げて「ネット通販2強」に挑むセブン。果たして「ネット通販第3極」になれるのかが注目される。
(文=田沢良彦/経済ジャーナリスト)

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