「社員はいつも祝日に休日出勤している」
都内のドトールのFC店の20代アルバイト女性は次のように話す。
「休みが減るのはかわいそうだなと思います。店舗は土日祝日、関係なく開いています。オーナー店長が本部の担当がいつも休日出勤していて気遣っていました。本部に問い合わせが必要なトラブルが発生するのは、常連のビジネスマンや近所のお年寄りが多い平日より、子連れのママ友会などで繁盛する祝日が多いです。
お役所ではないので暦通りかどうかが問題なのではなく、休日を減らさず、祝日分を平日に休むとか現場の繁忙期にちゃんと対応できるよう合理化したほうがいいと思います」
従来よりドトールの社員は暦通りに休みを取り、業務に対応できていたのかも疑問が残る。そもそも有給休暇や会社休日を返上して働いている社員もいる中で、さらに休日数が減る今回の「休日固定119日制度」を導入すれば、労働環境の悪化は不可避なのではないか。
朝日の記事やインターネット上の指摘通り、有休消化は国の方針だが、休みそのものが減るのであれば本末転倒だ。少なくとも、労働者側に対する不利益変更に見えるのだが、法律で定められている「社員の過半数の代表の同意」を本当に得られていたのだろうか。
ドトール広報課に事実関係を問い合わせたところ、次のような回答を得た。
「弊社には労働組合はありませんが、過半数の社員が所属する社友会という組織があります。今回の就業規則の変更は同会の意見を踏まえて、労働基準監督署に提出しました。同会の代表者は社員のアンケートによって選ばれています。
休日出勤を行っている直営店部門と比較的に暦通りに休むことができる本社の事務部門の間に、休日取得状況に偏りがあります。今回の規則変更は、それを平準化するために行いました」
労働者との合意なき規則変更は無効
労働ジャーナリストの溝上憲文氏は次のようにこの問題の背景を説明する。
「まず、会社が労働者を1日8時間、週40時間以上労働させる場合は、労働者代表と36協定を結ぶ必要があります。さらに休日労働協定を含めて就業規則の制定、変更も労働者代表との協議が必要です。就業規則などは労働基準監督署に提出する必要がありますが、労働者代表との合意のない就業規則は無効となります。
労働者側は社内に労働組合(従業員の過半数が加入していることが前提)があれば労組が、労組がなければ従業員の過半数を代表する代表者が、会社側と協定を結ぶ必要があります。
法律上の労働者の代表者とは、労働者の自主的かつ公正な選出によって過半数以上の支持を得た社員を指します。ところが実際には、経営者側が都合のよい社員を代表に指名したり、あるいは部課長など管理職から選出したりと、いいかげんな選出が行われていました。