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ここからはあくまで筆者の推論である。前国防長官チャック・ヘーゲル氏は昨年2月に、米国議会による大幅な歳出削減計画を受け、米国陸軍8万人規模の削減、空軍のA10攻撃機の全廃などの軍事予算削減策を発表した。余剰となったパイロットの受け皿をどうするか。大きな問題に違いない。
現在米国メジャーエアラインのパイロット数2万8000人の内、約50%が軍出身である。日本の場合は自衛隊出身者の割合は数%にすぎないが、米国ではパイロットの供給ソースとしては最も一般的になっている。この軍からエアラインへのパイプをさらに太くするために、民間出身のパイロットのエアラインへの道を今回の規制強化により狭くし、民間からのパイロットの供給を抑えようとしているとみることができるのではないか。いわば、政府による民業の圧迫である。
飛行の安全性はパイロットのみが担っているわけではない。航空機の設計・製造メーカー、整備士、管制官、飛行場施設やその管理者、その他多くの人や組織がそれぞれの役割を十分に果たして初めて安全性の向上が達成されるものである。もちろん、パイロットが最終的な責任を負っていることは否定できないのも事実である。
安全性の向上という錦の御旗を掲げているので、若い民間パイロットたちには不満があってもそれを口にできない。こんなことが今、米国の空で起きているのだ。
(文=風間秀樹/航空経営研究所主席研究員)
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