9月29日、海運5位の第一中央汽船(東証1部)が倒産。負債総額は子会社の分を含めて1764億円。同社は民事再生法を申請した後の記者会見で、「中国関係の取引は、それほど大きくないものの、現状の海運市況は中国トレードが5割以上を占めており中国の荷動きに影響される。2014年秋からの中国経済の減速により(海運市況が)急速に悪化した」と経緯を説明した。
第一中央汽船は15年3月期の連結決算書に「継続企業の前提に関する注記」、いわゆる「ゴーイングコンサーン(GC)注記」を付けられていた。4期連続の赤字に陥ったためGCの注記が付いた。海運不況のマリンリスクにチャイナリスクが追い討ちをかけたかっこうとなった。
「GC注記によって倒産することはほとんどなかった。ところが、第一中央汽船はGC注記がついた直後に倒産したため、GC注記が注目されるようになり、次に倒産するのはどこかと話題になっている」(市場筋)
東京商工リサーチの調べによると、15年3月期決算の上場企業2451社のうち、監査法人からGC注記が付けられた企業は25社。14年9月中間決算でGC注記が付けられたスカイマークや江守グループは倒産し、上場廃止になったため含まれていない。
また「継続企業に関する重要事象」は42社あった。「重要事象」はGC注記に至らないが、事業継続に重要な疑義を生じさせる事象がある場合に記載する、いわばGC注記予備軍だ。シャープやワタミなど重要事象が付いた企業は、財務の改善に取り組む必要に迫られる。ワタミが介護事業の売却に踏み切ったのは、重要事象に背中を押されたためともいわれている。
GC注記が付いた企業
では、具体的にGC注記が付いた企業をみてみよう。
グローバルアジアホールディングス(ジャスダック上場)は債務超過だ。豊国産業、プリンシパル・コーポレーションと社名変更し、中国資本の傘下に入った。警視庁が有価証券虚偽記載の疑いで3月に強制調査を行い、9月12日に上場廃止になった。
イーター電機工業(ジャスダック上場)も債務超過。債務超過は1年以内に解消できなければ、上場廃止になる。社長が交代し、6月末に払い込みを完了した第三者割当増資で債務超過は解消するが、有利子負債が巨額で、返済原資の確保や新規資金の調達には懸念がある。
14年9月中間期の重要事象からGC注記に格下げになったのが21LADY(名証セントレックス上場)。子会社にした洋菓子の「ヒロタ」が苦戦。2期連続の債務超過は回避したが剣ヶ峰に立たされている。