「うちには警察OBがいるから、何しても無駄だ」
今年7月にある地権者が管理事務所を訪れた際に、日本管財の事業所長はこう言い放ったという。
「うちの会社には警察OBの天下りが大勢いるから、あなたが何をやろうと無駄だ。うちはくるるからいつ出て行ってもかまわないんだよ」
要するに「面倒を起こすなら警察OBを使って逮捕させるぞ」という脅しにほかならない。もちろん不当要求を行っている者に対してなら有効かもしれないが、この場合は地権者と管理会社の関係である。この地権者は後日、日本管財に対して抗議をしたが、回答はなく、のちに事業所長が「録音しているなんてひどいじゃないか」と文句を言ってきたという。
日本管財のくるるにおける管理はずさんだった。この物件には管理組合のほか、「管理組合店舗部会」「管理組合グランタワー府中住宅部会」といった部会や枠組みがいくつも乱立し、それぞれが異なった条件で日本管財に管理業務を委託している。日本管財はそこからさらに、大地主の北朝鮮系さくらコマース関係会社など複数社に業務を再委託し、1つの物件にいくつもの管理会社が存在している状況だ。どこからどこまで、どの会社が管理しているかは、地権者でさえ把握できていない。
「たとえば、施設の案内板が雨でベタベタに汚くなっていたとき、日本管財に言っても『あそこは○○社が管理している場所だから』とたらいまわしにされ、汚れたまま放置されている。いわば建物の中に管理会社にしか見えない線が引かれている状態なのです」(地権者)
謎の「2016年」覚書
さらに、再委託してはならない業務も他社に丸投げしている疑いがある。くるる管理組合は基幹事務として組合等運営事務業務を定めており、契約では再委託できないことになっているが、管理組合の総会委任状の封筒の宛て先は、日本管財ではなく大和地所コミュニティライフとなっていた。
また管理会社同士の引継ぎも極めてずさんだ。前掲の記事で指摘したが、くるるには類似した商標が2つあり、地権者組織が登録した「クルル」と、旧日本綜合地所(現大和地所レジデンス)が地権者に黙って登録した「くるる」が今も併存している。日本管財はくるるの商標を引き継いだのだが、その際に締結された「覚書」の日付が「2016年」になっているのだ。警察OBがいるはずの日本管財のほうが、めちゃくちゃなのである。
むろん、管理受託戸数ナンバー1の実績をもつ日本管財だ。ずさん管理はくるるだけに見られる特異な現象かもしれない。1階に北朝鮮系のパチンコ店が出店し、2階には「低レート」を掲げた雀荘(当サイト報道後、「1・1・2」と表記を変えた)があり、3階には府中市の保育施設が入る物件だ。そして建設の際には、150億近い税金が投じられている。
ずさん管理はほかでも
日本管財は過去にも問題を指摘されていた。ニュースサイト「HUNTER」などによると、10年に福岡市の市民プールの日指定管理者となっていた日本管財が、計画では施設に社員を設置することとなっていたのにもかかわらず、別会社に丸投げ。さらにプールの清掃業務をやっていないのに「終えた」と虚偽の報告をするなどし、毎月1回の水質検査も怠っていたという。
警察OBが多くてコンプライアンスは万全のはずの日本管財は、過去に何度も不祥事を起こしている。06年には東京大学医学部附属病院の空調設備保全業務の入札価格を漏洩させたとして、入札妨害で元役員と社員が逮捕されている。また13年には、公共事業の入札資格審査の際に虚偽の書類を提出したとして、建設業法違反で国交省近畿地方整備局から営業停止命令が出されている。
日本管財はいったい、何のための警察OBを雇っているのか、問われるべきである。
(文=村上力/フリーライター)