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新型肺炎、マスク製造企業の株価、高騰直後に暴落…クルーズ旅行会社の株価暴落

文=編集部
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新型ウイルス肺炎が世界に拡大 日本国内でも警戒(写真:AFP/アフロ)

 中国で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の広がりを受け、ユニ・チャームなどヘルスケア企業はマスクの増産を急いでいる。中国だけでなく国内でも需要が急増し、一部店舗では品切れ状態。関連企業の株価は上昇したが、その後、乱高下した。

 繊維素材メーカーのシキボウは感染症対策に対応できる抗ウイルス加工繊維フルテクトを開発しており、これを応用したマスクも販売している。抗ウイルス機能付きマスクを増産するため、マスク生産を委託している日本の協力企業に例年の生産量の3倍の追加発注をした。増産分は4月以降に中国などに出荷する。シキボウの医療機関向けマスクは昨年、1年分が2週間で売り切れた。株価は上昇。2019年末の1008円から1月30日の高値1665円へと1.6倍になった。ただ、その後は反落して1200~1300円台で推移している。

 防毒マスク、防塵マスクを製造販売している興研(JQ上場)は医療用マスクも扱っている。新型コロナウイルス対策で売れ行きが伸びており、一般消費者向けの高性能マスク、ハイラックNeoが注目されている。株価は19年末の1354円から1月31日の高値4380円までで3.2倍に大化けした。その後、急落し、2200円台まで下げる場面もあった。2月6日はストップ安(500円安の1958円)まで下げ、終値は1991円(467円安)。

「超快適マスク」「超立体マスク」を販売しているユニ・チャームは一時、受注量が通常の10倍を超え、工場を24時間体制で操業している。当初、1月末までと想定した増産期間を2月も続行した。2月4日付日本経済新聞は「国内初患者が確認された1月16日からの約2週間で(マスクは)10億枚が出荷された。これは2019年1月1日時点の国内の家庭用マスクの在庫相当量だ。(略)現在の生産量は月6億枚と平時より5割多い」と報じた。

川本産業の株価は8.9倍

 東京株式市場で日経平均価格は急落、反発を繰り返しているが、新型肺炎の対策関連銘柄には投機資金が集中した。

 マスクなど衛生材料を手掛ける川本産業(東証2部)は連日、上場来高値を更新。1月30日夜(日本時間31日未明)に世界保健機関(WHO)が新型肺炎について緊急事態宣言を出したことを受けて、マスクなどの需要が急増するとの思惑から2月3日に4000円をつけた。しかし、直後から急落。2月5日の終値は1895円(ストップ安の500円安)。翌6日も一時、ストップ安(400円安の1495円)となり、終値は1542円(353円安)。飛び乗って、すかさず飛び降りた人は大儲けしたが、暴騰の最中に買った個人投資家にしてみれば、短期間のうちに株価が半分以下となった。川本産業の19年末の株価は447円だったから、実に一時8.9倍となった計算だ。

 病院でネームホルダーにセットして除菌や消臭に使う「クイックシールドエアーマスク」を手がける中京医薬品(JQ上場)の株価は、19年末の224円から2月3日の高値1598円と7.1倍になった。その後、急落し、2月5日の終値は746円。翌6日もストップ安(150円安の596円)をつけ、終値は619円(127円安)。こちらも高値の6割減の水準だ。

 防護服のアゼアス(東証2部)の株価は、19年末の593円から1月31日に高値1995円となり3.3倍。アゼアスも同じ動きで1000円近くまで下げた。2月5日には、一時、300円高(ストップ高)の1338円と3日ぶりに急反発し、終値は1310円(272円高)。東京都の小池知事が最大10万着の医療用防護服を中国に提供すると伝わったことから高くなったが、翌6日の終値は1127円(183円安)。

 防毒マスクを製造する重松製作所(JQ上場)は19年末の701円から、1月31日に高値2795円を記録、4.0倍に上昇した。2月5日の終値は1400円(230円安)。翌6日の終値は1191円(209円安)。殺菌、消毒剤ネオクロールを販売している昭和化学工業(東証2部)の株価は19年末の444円から2月3日の高値2043円までで4.6倍となった。2月5日の終値は798円(143円安)とかなり大きな下げを記録した。翌6日の終値は738円(60円安)。

 研究用試薬の開発・製造の免疫生物研究所(JQ上場)は、2月4日には制限幅の上限(ストップ高)水準となる1143円まで上昇した。19年末の684円と比較すると1.7倍だ。新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大を受けて国内でも検査体制の整備が急がれており、試薬の同社に恩恵があるとの思惑が浮上し、短期志向の個人投資家による買いが集まった。さすがにストップ高となった直後から値を崩し、2月5日には一時、804円。終値は847円だった。1日で高値から26%の値下がりである。翌6日の終値は776円(71円安)。

 新型肺炎関連株はマネーゲームの様相を呈した。瞬間風速で上昇、すぐに急落するというジェットコースター状態となっている。2月6日は興研、川本産業、中京医薬品の3銘柄がストップ安となった。

クルーズ専門のベストワンが売られる

 売り込まれた銘柄もある。クルーズ旅行専門の旅行会社、ベストワンドットコム(東証マザーズ上場)の株価は2月5日に3650円まで下落した。19年末の5000円から27%安だ。

 乗客乗員約3700人を乗せたクルーズ船、ダイヤモンド・プリンセスが検疫のために横浜港に着岸できない事態になっている。同船の乗客乗員のうち新型コロナウイルスの感染が確認されたのは61人となり(2月7日時点)、国内で集団感染が確認されたのは初めて。

 ベストワンはクルーズ旅行に特化しており、オンラインで予約するサイト「ベストワンクルーズ」を運営している。澤田秀太社長は格安旅行会社エイチ・アイ・エス(HIS)の澤田秀雄会長兼社長の長男である。新型肺炎の拡大で、世界のクルーズ船の運航に支障が出れば、ベストワンにとって強い逆風になることから、それを懸念した売りが続いている。

 新型肺炎は当初、短期間で終息するとの楽観的な見方があったが、日を追って感染は拡大しており、終息のメドは立っていない。東京株式市場では新型肺炎関連のニューフェース(新顔)を発掘し、まずその銘柄に飛び乗る。大量の買い物を入れて、ストップ高を続けることで株価を倍化させ、すばやく飛び降りる投資家がこれからも幅を利かすことになる。そんな器用な真似ができない個人投資家は、こうした銘柄に下手に近づいてヤケドをしないことだ。

BusinessJournal編集部

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