2016年から、英会話スクール「NOVA」のテレビCMが復活した。「NOVAうさぎ」が歌う軽快なフレーズに、懐かしい思いをした人も多いだろう。
NOVAうさぎはDJやダンス、野球、サーフィンなどをこなし、黄色いくちばしと瞳がないのが特徴だ。CMの中では、必ず人間がツッコミを入れるところを見ると、NOVAうさぎはいわゆるボケの立ち位置と思われる。
しかし、なぜ今このCMが復活したのだろうか。NOVAの変遷をたどってみたい。
「駅前留学」という言葉を広めたNOVAは、当時は株式会社ノヴァが運営しており、その企業キャラクターがNOVAうさぎだった。02年に登場するや否や大人気となり、NOVAのCMは翌年にCM好感度ランキング2位に上り詰めた。
NOVAうさぎのCMは全36種類オンエアされ、当初は入会者のみがもらえたキャラクターグッズが、一般向けにも販売されるほどの人気を誇った。また、菓子メーカーや玩具メーカーとのタイアップも展開されるなど、一種の社会現象といえる広がりを見せた。
ちなみに、当時小学校で流行するなど、子供たちが真似していたCMソングは、ドワンゴ取締役で音楽プロデューサーの志倉千代丸氏によるものだ。
倒産で姿を消したNOVAうさぎの悲劇
大活躍していたNOVAうさぎだが、その後、姿を消したのは肝心のノヴァが倒産したからだ。NOVAは人気を集める一方、従業員に対する給与未払いや消費者トラブルが絶えず、07年に経済産業省から一部業務停止命令を受け、約30万人の受講者がいたにもかかわらず倒産した。同時に、NOVAうさぎのライセンスビジネスも中断されたのだ。
その後、事業はジー・エデュケーションに譲渡され、新たな経営陣の下で、08年には「NOVA復活祭」というキャンペーンも開催された。現在は「株式会社NOVA」として、当時と同じ「NOVA」ブランドの英会話教室などを展開している。
NOVAうさぎも、ブランドやキャラクターのライセンス事業を行う株式会社ヴィジョンズの下で、12年からキャラクター市場に再登場している。しかし、世の中的には、今年になっていきなり復活した感が否めない。
姿を消している間に生まれたゆるキャラブームも去りつつあり、今さらの登場には哀愁すら感じられる。NOVAうさぎが、もう一度世の中をザワつかせる日が来ることを願いたい。
(文=編集部)