外食産業の主役が交代した。ファストフードが苦戦しているのに対して、ファミリーレストランは好調を維持した。
ファストフードの盟主・日本マクドナルドホールディングスは、「デフレの勝ち組」といわれた頃の勢いを失った。2015年12月期決算の最終損益は347億円の赤字、前年同期も218億円の赤字だったため、2年連続の大赤字だ。それも01年の上場以来、過去最大の赤字を記録した。
一方、14年10月に再上場を果たしたファミレスの雄・すかいらーくの15年12月期の連結決算の純利益は60%増の151億円と復活を鮮明にした。売上高は前年同期比3%増の3511億円。マクドナルドのそれは15%減の1894億円で、大差をつけた。
すかいらーくは余勢を駆って、さらに攻勢に出る。18年12月期までの3カ年の中期事業計画で都市部の繁華街などに計200~250店を新規に出店するほか、既存店の150~300店をしゃぶしゃぶ店など専門性の高い業態に転換する。主力の「ガスト」に加え、和食や喫茶を相次いで出店するなど、ファミレスの垣根を越えた出店攻勢をかける。
創業家から野村グループ、さらにベインキャピタルへ
すかいらーく、ロイヤルホスト(ロイヤルホールディングス傘下)、デニーズ(セブン&アイ・フードシステムズ傘下)は“ファミレス御三家”と呼ばれ、一時期外食産業の花形だった。
デフレ経済下の2000年代に入ると、低価格を売り物とする洋風(ハンバーガー)と和風(牛丼)のファストフードの台頭に押されて長期にわたり低迷した。
すかいらーくの創業者は横川4兄弟だ。業績が悪化したため、創業一族は06年に野村プリンシパル・ファイナンスなどから出資を受けてMBO(経営者による自社買収)を実施し、すかいらーくは上場廃止となった。
再建の方針をめぐり、横川一族と野村側が対立。その結果、創業家の横川竟社長が解任された。それでも再建は軌道に乗らず11年10月、負債込みの2600億円で米投資ファンド、ベインキャピタルに売却された。
野村グループでは再建できなかったすかいらーくをベインキャピタルは短期間のうちに再生させ、14年に再上場を果たした。では、どうやって再生させたのか。