マクドナルドから移った人々が再生を主導
すかいらーくを再生させたのは、マクドナルドをドロップアウトした人たちだった。ベインキャピタルは、米マクドナルドコーポレーションの社長兼COO(最高執行責任者)を務めたラルフ・アルバレス氏を、すかいらーくの会長に据えた。アルバレス氏はスタッフにマクドナルド出身者を集めた。マクドナルドは原田泳幸元会長が独裁色を強めるにつれて、外部からスカウトしてきた優秀な人材が次々と去っていった。その一部が、すかいらーくに移ったかたちだ。
彼らは、マクドナルドでやれなかったことをすかいらーくで実践した。それは客単価を向上させる努力である。販売履歴などのビッグデータを、販促やメニュー開発に活用した。家庭では食べられない食材を使ったフェアを展開し、女性やシニア層の取り込みに成功した。
新規のメニューはセットで1000円を超えるものも多く、客単価の改善につながった。そして全店の客単価は13年11月から16年3月まで29カ月連続でプラスになった。
懸念材料があるとすれば主力のガストである。15年12月から16年3月までの4カ月、客単価は前年同月を下回った。若いファミリーや学生などの客足が鈍り、客離れが数字として表れ始めた。
谷真社長は15年12月期の決算発表の席上で、ガストは低価格の昼食メニューを充実させると語り、減少傾向が続く客数を押し上げる打開策を示した。単価アップから客数回復に重点を移す方針だ。
もうひとつの懸念は、3月の既存店売上高が前年同月比で2%減ったことだ。昨年12月以降、2月まで前年同月の実績を上回ってきただけに注目された。
株価は15年の高値1958円(8月5日)から1300円台まで下げ、16年2月10日には1252円の年初来安値をつけている。ガストだけでなく、全店で客数を上積みすることが株価反転のカギを握る。
(文=編集部)