新型コロナウイルスの感染拡大で不当に利益を得ている事業者を取り締まるため、マスクの不正転売を禁止する政令が施行されてから、間もなく2週間が経とうとしている。一箱数万円の値を付けていた商品もECサイトから姿を消して久しい。
ところが最近、新たな方法で消費者をだます事例が確認されている。あるユーザーが24日、次のように被害報告をTwitter上に投稿したのだ。
「なんと!ビックリ仰天!️Amazonで詐欺に遭いました 皆さんもご注意あれ!️ この時期にマスクが掲載されてて転売禁止の発表後でもあり値段も普通 さっきまで注文履歴の画像がマスクだったのに 発送済のメールが来たとたん画像がタオルに!️Amazonに問合せしたら同様の問合せ殺到中とのこ」(原文ママ、以下同)
「その後Amazonからメール連絡が来まして 出店者の調査を行う 代金は返金する というからのとでした」
この投稿には、7枚入りの黒色の不織布マスクが並んでいる商品写真と、カラフルなタオルが折りたたまれている「追跡情報」のスクリーンショットが添付されていた。つまり、購入ボタンをクリックするまではマスクの画像で、発送段階になってタオルの写真と差し替えられていたというのだ。
典型的な詐欺行為
この投稿は次のように大きな反響を呼んでいる。
「俺もやられました!」
「恐ろしい。確かにこの画像のマスク見たことある」
「私もプライム会員で送料無料だったのにいきなり700円になったことあります。問い合わせたら送料と手数料とか言ってました。だったら買わなかったよ 目薬一個なのに。Amazonがポイント還元で戻してくれました。中国の会社でしたね…」
政府が施行した政令は、「不特定の相手方に対し売り渡す者から衛生マスクを購入した者」を対象に、「不特定または多数の者に対し、衛生マスクの売買契約締結を申し込み、あるいは誘引したうえで、購入価格を超える価格で譲渡すること」が規制されている。違反者には1年以下の懲役か100万円以下の罰金で、両者を併せて科すことも可能だ。しかし、今回の件はマスク自体を取り扱っていないので、典型的な詐欺行為とみられる。
日本政府の政令や今回のような事例の発生をアマゾンはどうとらえているのか。アマゾンジャパンパブリック・リレーションズ本部の担当者は、「個々の事情についてはお答えできませんが、今回、お問合せ頂いた件も含めて弊社としての見解をお伝えします。また、今回のような事例が多発しているというわけではない点に関してもご留意いただければと存じます」と説明した上で、次のような公式見解を示している。
「Amazonがご提供する商品およびAmazonマーケットプレイス保証の対象である出品商品のいずれの場合にも、Amazonはお客様のご心配を解決できるようきめ細かい配慮の下に取り組んでいます。この結果、ほとんどのお問い合わせは解決されています。Amazonにとってお客様お一人おひとりを大切に考えており、可能な限り個別にご対応させていただけるよう努めています。
衛生マスクを営利目的で転売する行為を禁止する法令が施行されたことによりAmazon.co.jpでは、衛生マスクを出品できる販売事業者様を制限させていただいております。お客様に安心してお買い物いただけるよう、Amazonは、引き続き政府当局に協力して参ります」
世の中の混乱を商機とみなす悪質なビジネスは後を絶たない。