消費者が企業活動に抱く疑問を考察するサイト ビジネスジャーナル ⁄ Business Journal
もうひとつの要因は、安倍首相はサミットを利用して「来年4月に予定されている消費増税を再延期すべき」との賛同を各国首脳から得たと内外に示したかったのだろう。これまで政府はリーマンショック並みの危機がない限り、消費増税は予定通り実行すると表明してきた。目先の景気にとって増税はマイナスであると考えられる。そのため、首相はなんとかして増税再延期の客観的論拠をつくりたかったのだろう。しかし各国首脳は、世界経済は危機的状況にはないと一蹴し、日本の主張は孤立してしまった。
個々で冷静にリーマンショック並みの危機の可能性を考えてみる。世界経済の下振れリスクは高まっている。各国の政府、中央銀行なども、世界経済が調整するリスクに気を配り、先行きに慎重な見方を持っている。
何が世界経済のリスクを高めているのかに着目すると、中国経済の動向が最も気がかりだ。第1四半期の実質GDP成長率が6.7%(前年同期比)まで低下した。これは7年ぶりの低水準だ。輸出や消費(小売り売上高)等も悪化傾向にある。
一方、債務の膨張にはブレーキがかかっていない。中国の民間セクター(金融機関を除く)の債務残高はGDPの200%を超えている。鉄鋼やセメントなどの業種では過剰な生産能力が蓄積され、そのリストラが急務だ。それにもかかわらず、足許では住宅価格の高騰が粗鋼の需要観測を刺激し、リストラではなく増産を進める企業も出始めた。中国経済の問題は解決よりも悪化に向かっているおそれがある。
中国が発生させた資源バブル
中国経済の低迷、そして債務問題などの構造上の問題の主な原因は、リーマンショック後に打ち出された4兆元の景気刺激策にある。リーマンショック後、中国は低迷する景気を立ち直らせるために、インフラ投資や自動車などの販売支援策を大々的に進めた。問題は、4兆元という刺激策の規模が過大で、しかもその内容は公共投資に偏っていたことだ。
大規模な刺激策の発動は、鉄鉱石や銅、原油など、あらゆる資源を中国が買い漁るとの見方を強めた。その結果、世界規模で資源開発が急速に拡大し、資源バブルが発生した。このバブルの波に乗って、米国ではシェールガス開発が進み、中国経済が減速するなかで世界経済を支えた。
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