ビジネスジャーナル > 企業ニュース > 中国発「リーマン級」経済危機の兆候  > 3ページ目
NEW

中国発「リーマンショック並み」世界経済危機の兆候…中国、異常な債務膨張と成長失速

文=真壁昭夫/信州大学経法学部教授
【この記事のキーワード】, ,

 リーマンショックの発生によって重大な経済危機に直面した世界経済は、中国が引き起こした資源バブルの熱気によって徐々に回復に向かった。そのなかで、米国をはじめ先進国、新興国の中央銀行は、積極的に利下げなどの金融緩和を進めて景気を支えた。欧州での財政問題の深刻化が財政出動へのハードルを高めるなか、低金利が投資家のリスク許容度を支え、14年年央頃まで世界経済はバブルの熱狂に浸った。

 ところが、中国経済の減速が鮮明化した14年年央頃を境に、資源バブルは崩壊に向かった。それを象徴する動きが原油価格の下落だ。理由は中国の経済成長率が低下し、需要が低迷したからだ。中国の資源需要の低迷は、鉄鉱石、銅等、多くの資源価格の下落につながった。原油価格の下落は産油国の財政の悪化に直結する。そのため、サウジアラビアなどは価格の下落を補うために増産を続けた。

 この結果、需給バランスが悪化して原油価格に下押し圧力がかかり、16年2月には1バレルあたり26ドル台にまで下落した。これは、原油価格の下落が経済を圧迫する“逆オイルショック”というべき動きだ。産油国は、財政の悪化を補うためにソブリンウェルスファンドが保有していた株式などの売却を余儀なくされ、15年後半以降の世界的な株価の下落の一因になった。

 資源バブルの発生は、新興国の構造改革を遅らせる要因にもなった。特に見逃せないのが債務の増大だ。新興国が抱える債務残高は、民間を中心にリーマンショック以前の水準を超えている。その典型が中国の民間債務問題だ。

世界経済が抱えるリスク要因

 新興国では債務が増加する一方、中国を中心に過剰な生産能力が放置され成長基盤が悪化している。債務規模を支えるだけの成長は期待できず、いずれ調整は不可避だろう。債務規模がリーマンショック以前の水準を上回っていることを踏まえると、世界経済はリーマンショック前を上回るリスクが存在するとさえいえる。

 一方、米国では今後数カ月以内での利上げが視野に入っている。それは、ドル買いと新興国通貨売りの動きを引き起こすおそれがある。仮にFRB(米連邦準備制度理事会)が多くの投資家の想定以上に積極的な利上げを志向し、市場に利上げを備えさせようとすれば新興国の金融市場が混乱するかもしれない。それは、世界的なリスク回避につながり、先行きへの懸念を高めるだろう。

中国発「リーマンショック並み」世界経済危機の兆候…中国、異常な債務膨張と成長失速のページです。ビジネスジャーナルは、企業、, , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!