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2014年以降、中国政府は頭金比率の引き下げや、外国人に対する不動産投資規制の緩和などを打ち出してきた。一方、中国人民銀行(中国の中央銀行)は利下げや金利の自由化を行うことで、不動産向けの投融資を支えた。その結果、4月の新築住宅価格は、主要70都市のうち65都市で上昇した。住宅価格が上昇した都市の数は3月から3都市増え、大都市だけでなく中小の都市にまで住宅価格の上昇が浸透している。この状況はバブルというべきかもしれない。
中国が住宅投資に関する規制を緩和したのは、住宅在庫を減らしたかったからだ。同時に、政府は不動産市場へのテコ入れを通して景気を支えたかったはずだ。この結果、15年6月に急落した株式市場から流出した資金が不動産市場に流入し、株価下落の影響を補ったのである。
そして、住宅市場の上昇は鉄骨などの需要を喚起し、鉄鉱石価格の反発につながった。過剰な生産能力のリストラが急務である鉄鋼メーカーのなかには、期待先行で減産ではなく増産に乗り出した企業もある。実体経済が弱いだけに、中国政府は資産価格を実態以上に膨らませて懸念を食い止めようとしている。つまり、政府は規制緩和などを通して株式市場から不動産市場への資金シフトを促し、バブルを小規模に発生させることで一時の楽観を醸し出している。
高まるハードランディングの懸念
投機に支えられた経済は不安定だ。一時的な楽観を指摘する向きもあるが、それは慎重に評価すべきだ。そして、中国政府も不動産市場の過熱に懸念を持ち始め、融資規制の強化を進めている。規制の強化を受けて、住宅価格の上昇をけん引してきた上海、シンセンでは住宅価格の伸び率が鈍化している。住宅価格の上昇に刺激されて上昇してきた大連の鉄鉱石先物市場でも、投機の取り締まりが進められている。
そうなると、多くの専門家が中国のハードランディングを懸念せざるを得なくなる。ハードランディングとは、加熱した景気が急速に冷え込み、金融市場や経済に無視できない混乱が生じることを指す。今すぐにハードランディングが発生するとは考えにくいものの、短期的には金融市場が大きく混乱し、世界経済の景況感が急速に悪化するリスクはあまり高くないとみる。
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