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中国経済、失速鮮明に…公的資金で強引に「官製バブル」演出、メッキ剥がれ始める

文=真壁昭夫/信州大学経法学部教授
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 なぜなら、中国には利下げなど金融政策に余地があるからだ。外貨準備の減少にも歯止めがかかっている。今のところ、先進国に比べて財政にも余裕があるはずだ。加えて、不動産市場の悪化を受けて流出したお金を再度、株式市場に流入させる措置も進めている。シンセン-香港間の相互取引の実現は、本土株式市場への資金流入を支えるだろう。また、いまだに中国政府は公的資金を用いて株価の買い支えを行っている。

 一方、要注意なのは中国政府の相場管理能力だ。16年年初にもみられたように、株価の急落を受けて、政府が無理やり売買の停止などを発動しても効果は限定的だ。むしろ強制的に売り圧力を抑えようとすれば、市場の混乱は高まる。中国市場の混乱は当然、わが国をはじめ世界の金融市場にも波及するはずだ。中国政府は、今年年初にサーキットブレーカーを導入したことが市場の混乱を増幅したことを反省し、相場管理の運営を改善してきた。そこには一定の成果が見られるはずだ。

日本と世界経済への影響

 中国経済が減速していることは事実だ。中国の景気、金融市場の下振れリスクに対する注意を怠ることはできない。中国経済への懸念が高まり、世界各国に影響が広がるというチャイナリスクの波及経路のなかで、中国の人民元の動向には注意が必要だ。昨年11月末、国際通貨基金(IMF)は人民元を特別引き出し権(SDR、各国の外貨準備資産を補完する国際準備資産)に加えることを決めた。それは、人民元がより広範に自由に取引されることを意味する。つまり、不動産市況の悪化など中国経済の変調は直接、為替レートに反映されやすくなる。

 足元まで人民元はドルに対して下落基調で推移した。その原因は、原油価格の上昇が米国のインフレ期待を高め、ドルが上昇したことだけではない。中国の不動産、鉄鉱石先物の価格上昇がいき過ぎているとの懸念も影響しているはずだ。金融市場ではチャイナリスクに対する懸念が徐々に上昇し、人民元への売り圧力が高まりやすくなっている。

 人民元の下落リスクは、日本経済に無視できない影響をもたらす。昨年8月、あるいは今年1月のように、人民元が急落すると世界の投資家はリスク回避に向かいやすい。その場合、経常黒字やデフレ経済下での実質金利の高さを理由に、円は安全通貨として買い進められやすい。

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