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こうした燃料電池車の普及拡大には、燃料電池車の車体内部に搭載する水素タンクに水素を送り込む、水素ステーションの設置が必要だ。そのため、16年度内に四大都市を中心に100カ所程度、20年度までに15年度と比較して約2倍となる160カ所、そして25年度にはさらにその2倍となる320カ所の設置を目指すとした。さらに、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーに由来する水素ステーションを、20年度までに100カ所程度とする目標を掲げている。
現在、日本国内で燃料電池車の量産を表明しているのは、トヨタ、ホンダ、そして日産の日系ビック3のみ。その他の乗用車メーカーでは、マツダ、三菱自動車、富士重工は、ビック3と比べて自社の開発部署の規模が小さいことなどを理由に、16年上半期の時点では、燃料電池車の量産は未定だ。また、スズキは英国で自動二輪車向けの燃料電池車両の開発を続けてきたが、四輪車向けの量産計画は公表していない。
つまり、国が掲げる「水素社会」における燃料電池車は、水素ステーションというインフラとパッケージで考えるべき乗り物であり、燃料電池車の主要な製造者である日系ビック3が足並みを揃えることは必須であるはずだ。
それにもかかわらず、日産は自社独自の技術開発を優先し、「燃料電池車には、水素ステーションは不要」という結論を公表したことになる。このままでは、「水素社会の普及に向けたフェーズ1」が腰折れしてしまう危険性が高い。なぜなら、水素ステーションに対する投資が今後、冷え込む可能性があるからだ。
4億円は無理だが、2億円弱ならば「買い」か
筆者は、2000年代の前半に日米欧で起こった、第1次・燃料電池車バブルの現場を取材した。そして、今回の第2次・燃料電池車ブームについても、その前兆が見え始めた頃から日米での取材を続けてきた。そうしたなか、日本のガソリンスタンドオーナーたちと意見交換する場で、「どのタイミングで、水素ステーションに投資するべきか?」という質問を受けることが多い。
現在、日本で水素ステーションを設置するためには、4億円前後の費用が掛かる。これは欧米と比べて2倍以上と高額だ。その理由は、高圧ガス保安法などの規制において、水素タンクなどに対する設計上の安全率が欧米と比べて高いため、それに準じた装置の費用がかさむためだ。
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