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桃田健史「クルマ“周辺”」

日産の新型バイオ車、業界全体に波紋…国の基本計画と逆行、燃料電池車普及を阻害か

文=桃田健史/ジャーナリスト

 そうした規制に対して、政府は新しい「エネルギー基本計画」のなかで、関係省庁が連携した規制緩和を進めるとしており、その効果が徐々に現れて始めている。水素関連の研究者や、水素関連の事業者からは「規制緩和の進行はまだまだ遅い」という声はあるものの、産学官が連携して、「我が国の将来のために、少しでも前進しよう」という姿勢があることは確かだ。ガソリンスタンドオーナーたちからも、水素ステーションの価格が「欧米並みになったら、先行投資として考えたい」という声が上がってきた。

 その矢先に、日産が水素ステーションを必要とする燃料電池車の開発を凍結したのだ。これで、ガソリンスタンドオーナーたちの投資意欲が弱まってしまい、水素ステーションの量産効果が下がり、設置台数が増えず、結果的に燃料電池車の普及台数は伸びない。

 今回の日産の判断が、日本の水素社会の将来に及ぼす影響は極めて大きい。国は日産に判断を思い留まるよう、強い指導をしなかったのだろうか。その経緯について今後、取材を続けていきたい。
(文=桃田健史/ジャーナリスト)

桃田健史/ジャーナリスト

桃田健史/ジャーナリスト

桐蔭学園中学校・高等学校、東海大学工学部動力機械工学科卒業。専門は世界自動車産業。その周辺分野として、エネルギー、IT、高齢化問題等をカバー。日米を拠点に各国で取材活動を続ける。日本自動車ジャーナリスト協会会員。一般誌、技術専門誌、各種自動車関連媒体等への執筆。インディカー、NASCAR等、レーシングドライバーとしての経歴を活かし、テレビのレース番組の解説担当。海外モーターショーなどテレビ解説。近年の取材対象は、先進国から新興国へのパラファイムシフト、自動運転、EV等の車両電動化、情報通信のテレマティクス、そして高齢ドライバー問題や公共交通再編など。
ジャーナリスト 桃田健史 オフィシャルサイト

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