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タカタ、今夏のXデー…潰すに潰せない自動車業界の厄介者、リコール費用請求地獄突入

文=河村靖史/ジャーナリスト
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1億台・1兆円

 タカタとNHTSAの合意を受けて、自動車各社は米国以外でも、日本を含めて世界中で乾燥剤の入っていない硝酸アンモニウムのインフレーターを搭載しているモデルのリコールを順次実施している。この結果、自動車メーカーが費用を肩代わりしているタカタ製エアバッグのリコール対象はグローバルで1億台を超え、リコール費用は総額1兆円を超える見通し。しかし、タカタの自己資本は3月末時点で1200億円余り。

 今後、自動車メーカーとタカタのリコール費用の分担交渉が始まるが、これによってタカタの経営再建問題が浮上することから、スポンサー探しと同時並行で話が進む。リコール費用の問題やタカタの支援先選定では、2月に設置した第三者の弁護士などで構成する外部専門家委員会が実際の交渉に当たる。

 タカタの支援先スポンサー企業には、複数の会社やファンドが興味を示しているとされる。米国投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)がすでに支援先として名乗りをあげているほか、中国系サプライヤーも興味を示しているとされる。

 これに対して、タカタにリコール費用を求償する自動車メーカー側の心境は複雑だ。タカタの支援先が決定しなければリコール費用の交渉が難航するのは確実。しかも、タカタへの求償で経営破綻するような事態になれば、グローバルでエアバッグやシートベルトのシェア2割を握るだけに、自動車メーカーの部品調達に支障が及ぶ。自動車各社としては自分の首を絞めることになりかねない。だからといってスポンサー企業についても「タカタは安全関連部品のサプライヤーであり、金を出すならどこでもいいわけではない」(自動車メーカー・購買担当役員)のが本音だ。

交錯する複雑な要因

 さらに自動車メーカー側も一枚岩ではない。日系自動車メーカーは、タカタと今後も取引を継続することをベースに、リコール費用分担やスポンサーの選定について交渉する。これに対して米フォード・モーターや独フォルクスワーゲン(VW)、伊フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)などの海外自動車メーカーは、タカタがファンドに買収されようが経営破綻しようが、リコール費用回収が最優先との考えが強いとみられる。

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