伊藤忠商事の仲介で買収
RIZAPグループはM&Aの過程で伊藤忠商事とのつながりを深めた。東証2部上場の女性用体型補整下着のマルコと4月28日、資本業務提携を締結。マルコが発行する第三者割当増資を27億5000万円で引き受けた。7月5日に買収手続きを完了した。
マルコは1978年に日本で初めてのプロポーションを整えるための体型補整下着を商品化して以来、49万人の累積会員を擁する。しかし、高付加価値商品(主な価格帯は3万5000円から6万円)のため消費低迷の影響を受けやすく、業績は厳しい状況が続いていた。
16年3月期の連結決算の売上高は134億円、営業損益は6億円の赤字、最終損益は37億円の赤字だった。15年3月期までは単独決算だったため単純に比較できないが、15年3月期も営業損益、最終損益とも赤字だった。
赤字経営が続き純資産は減少した。15年3月期(単独決算)に88億円あった純資産は16年3月期(連結決算)では47億円にまで減った。赤字が続けば純資産を食い潰し、債務超過となることは避けられない。自己資本の増強が喫緊の課題となっていた。
マルコの筆頭株主の伊藤忠が提携を仲介した。第三者割当増資を引き受けたRIZAPグルーブは63.18%の筆頭株主となり、それまで25.13%を持つ筆頭株主だった伊藤忠は、9.25%へと持ち株割合を減らし2位の株主になった。伊藤忠は逃げ切りを図ったわけだ。
ライザップによって引き締めた体型をマルコの補整下着で維持していくというシナジー効果を株式市場は期待して、マルコの株価は上昇した。
伊藤忠商事とライセンス契約
RIZAPグループはしたたかだ。6月30日に、伊藤忠とアパレルの商品展開についてマスターライセンス契約を結んだと発表した。今後はライザップブランドのスポーツウェアやアンダーウェアなどを中心に、スポーツ量販店などで販売。3年後に小売りベースで20億円の売り上げを目指すという。
伊藤忠とのライセンス契約は、お荷物になっていたマルコを引き取ってもらった見返りと、指摘する向きがある。伊藤忠の岡藤正広社長はライザップに通って、いろいろな数値が改善し、体重が5キロも減ったからライザップとの付き合いを始めたという関係者がいるが、岡藤氏のことを知らない人の皮相的な見方だ。ビジネスに関して岡藤氏はもっとシビアだ。