伊藤忠はRIZAPグループと契約した理由について「近年話題のライザップを、健康を象徴するブランドとして打ち出すことで、新たな需要を喚起できる」とコメントしている。
ライザップで大当たりしたことで、全市場の中でも最も上場基準が緩いといわれている札幌アンビシャス市場から東証1部を目指すと瀬戸氏は意気軒昂だ。伊藤忠という強力な援軍を得たとの読みも働いている。
RIZAPグループの会計監査をするのは東邦監査法人。上場時には大手監査法人が監査をしていたが、決算の方針をめぐって対立しRIZAPグループが切った。
ジャスダック上場のインテリア雑貨の企画卸会社、イデアインターナショナル(RIZAPグループが56.8%を出資し筆頭株主)の監査法人は東邦。東証マザーズ上場の10~20代向け衣料品ネット通販の夢展望(同73.5%を出資し筆頭株主)も東邦。今回傘下に組み入れたマルコの監査法人も6月末にトーマツから東邦に切り替わった。ライザップの幹事証券会社はSBI証券である。
竹中平蔵氏を経営諮問委員に招く
RIZAPグループは有名人を指南役に招いた。取締役会傘下の委員会として外部の有識者3人による経営諮問委員会を設置し、パソナグループ取締役会長で慶應義塾大学名誉教授、東洋大学教授の竹中平蔵氏が委員に名を連ねている。
2人目は藤田勉氏だ。慶應義塾大学でグローバル金融制度論の講師を務め、山一証券、メリルリンチ、シティグループ証券で活躍した。シティグループ証券では取締役副会長だったが現在は顧問。日経アナリストランキングの日本株ストラテジスト部門で、06~10年に5年連続1位だったことで知られる。現職は日本戦略総合研究所社長。
もう1人は、フロンティア・マネジメント代表取締役の松岡真宏氏。野村総合研究所、バークレイズ証券、UBS証券を経て産業再生機構でマネージングディレクターを務めた。流通・小売業界のエキスパートだ。
外部の有識者の指南を受けてRIZAPグループはM&Aを進め、20年には年商を現在の6倍の3000億円、営業利益は7倍の350億円を目指すという。
急膨張についていける人材は育っているのだろうか。外部から人材を大量にスカウトしたら、RIZAPグループが水膨れしてダイエットしなければならなくなると皮肉る声もある。
瀬戸氏はジェットコースター経営を繰り返してきた。倒産の危機も経験している。今回も、リーダーシップが空回りして空中分解する可能性がないわけではない。
(文=編集部)