三菱商事の子会社となるローソンは、人材面や調達網などで三菱商事の経営資源を一層活用し、コンビニエンスストア業界首位のセブン-イレブン・ジャパン、2位のファミリーマートを追う。だが、店舗数はライバル2社に追いつけないほど差が開いた。
国内店舗数はセブンが1万9044店、サークルKサンクスを統合したファミマが1万8240店なのに対して、ローソンは1万2606店(いずれも8月末時点)。ローソンはライバルに大きく水をあけられた。三菱商事の後ろ盾を生かして、このところファミマに押されっぱなしのローソンの存在感を高める狙いだ。
海外店舗を5000店に増加
ローソンの竹増貞信社長は7月18日、中国・上海で開いた記者会見で、2020年までに海外店舗数を現在(6月末865店)の約6倍に当たる最大5000店に引き上げる目標を明らかにした。中国で3000店体制を築くほか、ベトナムへの進出を検討する。
ローソンの中国進出には苦い歴史がある。中国政府の外国企業誘致は長らく雇用創出効果があって、投資金額が大きい製造業が主役だった。08年のリーマン・ショック後は内需の拡大に直結する流通サービス業の誘致が新たなターゲットとなった。ローソンの新浪剛史社長(当時)は、この流れの変化をビジネス拡大のチャンスと捉えた。
現地政府からの誘いで10年7月、重慶ローソン1号店を開店した。ローソンは1996年に中国に初出店したが沿岸部の上海に照準を合わせた。その後、日系コンビニが進出していない内陸部に進出して一気に店舗の拡大を図る作戦だった。新浪氏が「中国で1万店」という大風呂敷を広げたのは、この時だ。しかし、日中関係の悪化で、1万店出店計画は空中分解した。
この時の挫折がたたり、ローソンは海外進出で決定的に出遅れた。海外店舗数はセブンが4万1046店(6月末時点)、ファミマが6092店(8月末)。ローソンはわずか926店(同)。桁違いの差をつけられた。業界4位ミニストップの2932店(同)にも遠く及ばない。
人口の減少が続く日本では早晩、コンビニは飽和状態になる。だから、コンビニ各社は海外展開を成長戦略の柱に位置づけた。海外店舗の多寡がコンビニ各社の経営力を決定づけることになった。
海外展開で大差をつけられたローソンは、三菱商事の海外ネットワークを活用してライバルを追い上げる。竹増氏の「2020年までに海外店舗数を5000店、中国で3000店体制にする」という発言を三菱商事が担保する図式だ。