新浪氏が挫折した中国市場に、竹増氏が挑戦する。中国での店舗数は上海が458店、重慶が110店、大連が53店、北京が34店の計655店(2月末)。上海周辺を中心に、内陸部の重慶市で出店を加速させるという。だが、中国で3000店舗を構築することは、ハードルが高い。ローソンにとって中国は鬼門ともいえ、新浪氏の二の舞を懸念する声が出ている。
三菱商事はローソンとイオンの統合を仕掛ける
ローソンを子会社化した三菱商事の本当の狙いはどこにあるのか。以前から業界内で根強い見方としてあるのは、ローソンと流通業界首位のイオンとの経営統合である。
三菱商事はイオンの発行済み株式の4.80%を保有する筆頭株主である。イオンとローソンが持ち株会社方式で経営統合すると仮定しよう。出資比率が33.47%のままのローソンがイオンと合併した場合、三菱商事の持ち株比率は大きく下がる。主導権を握るためにはローソンの子会社化(出資比率50.1%以上)が必須条件となる。
ちなみに、イオンの資本金は約2200億円で、ローソンの約585億円と比較すると3.76倍である。ただし、株式時価総額では、ローソンが7923億円(9月16日時点)、イオンは1兆2895億円(同)。その差は1.6倍まで縮まる。
具体的に想定される統合のシナリオは、以下のようなものだ。イオンはローソンと経営統合して、ローソンとイオン傘下のコンビニ、ミニストップと合併させる。イオンとローソンは12年にエンターテインメント分野で提携し、ローソンチケットなどを購入できるマルチメディア端末「Loppi」をミニストップ全店に設置している。
イオンは売上高では流通業界首位だが、ライバルのセブン&アイ・ホールディングスに収益力で圧倒的に差をつけられている。セブン&アイはセブン-イレブンというドル箱を持っているからだ。イオンが展開するミニストップは、国内店舗2242店で海外店舗2932店とローソンより少ない。セブンとはまったく比較にならない。
イオンにとって、コンビニの強化は長年の経営課題だった。ローソンが手に入ればセブンの追撃体制が整う。三菱商事は、子会社のローソンを使ってイオン本体の経営の主導権を握る方針だ。イオン・ローソンホールディングスを設立した場合、その社長の椅子はイオン社長の岡田元也氏に譲るとみられる。竹増氏はまだ若いため、ローソンの社長としてしばらく経験を積ませればいい。イオンの“ドン”である岡田氏を三菱商事の垣内威彦社長が直接、説得できるかどうかに合併の成否がかかっている。三菱商事がイオンに経営統合を仕掛けるためには、ローソンを子会社にすることが絶対に必要だった。