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ボジョレー、輸入量半減でブーム終了か…そもそも「●年に一度の出来」PRは間違い

文=編集部

フライング販売が横行

 年間100回以上のワインイベントを開催しているENJOY WINEの代表でワインエキスパートの戸田輝氏は、客観的事実として、今年の葡萄は出来が良いという。

「ボジョレーの生産者として高い評価を得ているドメーヌ・ド・ラ・マドンヌの現当主、ブルーノ・ベレールのレポートによると、夏から秋にかけて晴天が続き、葡萄の葉も実も極めて優れた健康状態を保ったようです。病気や霜などの被害もありませんでした。つまり、今年は天候的には平均的な年よりも良かったようです。原料となる葡萄は良い出来栄えだったので、つくり方をよっぽど間違えない限り、今年のボジョレーは良いワインだということができそうです」

 ただし、「そもそも過去と比較すること自体に意味がない」と戸田氏は指摘する。

「実際に飲んでみて、今年のヌーヴォーはおいしかったです。ただ、人間の味覚の記憶はあいまいなので、去年やほかの年に比べてどれくらいおいしかったかというと、比較試飲ができないので明言できません。また、年の違いよりも生産者による違いのほうが大きく、毎年同じ生産者を飲み続けているようなマニアックな人以外には、ほかの年と比較するのはあまり意味がないと思います」

 一口にボジョレーといっても、無数のブランドが店頭に並んでいるため、自分の好みに合う商品と合わない商品がある。「今年はおいしいらしいから買おう」と考えていると、ボジョレーの良さがわからないかもしれない。ひとつのイベントとして銘柄関係なく飲むのも結構だが、自分の好みに合うボジョレーを探してみることをお勧めしたい。

 また、ボジョレー解禁のお祭り騒ぎで昨今、問題視されているのが「フライング」だ。かつては、毎年11月第3木曜日の0時までは税関を通れなかったので、新東京国際空港(成田空港)で解禁イベントが行われていた。

 それが今では、酒類販売店や飲食店には特別措置として事前に卸され、解禁とともに速やかに発売できるようになった。その特別措置を無視し、フライング販売している店が増えているのだ。客に対して特別感を与えためなのだろうが、解禁時間を守っている同業者からは怒りの声が上がる。

「解禁の時間を守っているからこそ、ボジョレーには価値がある。あくまでも特別措置であることを自覚しなければ、事前に配送を受けることが禁止される可能性もある。なかには、フライング販売を堂々と掲げて客を呼び込む悪質な店もある」(都内の飲食店経営者)

 お祭り好きな日本では、さまざまなイベントで、過熱するあまりマナー違反者が続出することが多々ある。ボジョレーもほとぼりの冷めた感があり、落ち着いて楽しむ土壌を築く時期にきたのかもしれない。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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