そんな客単価1000円未満の王者たちが苦戦する中、その数倍に上る客単価でも好調の店というのも珍しくないが、中には「この店がなぜ繁盛しているのか?」と疑問を抱いてしまう店があるのも事実である。「値段ほどの味ではない」「スタッフのサービス品質が低い」「席が狭い」「店内が騒がしい」「入店までのウェイティングが長い」といった条件が揃っていても、なぜか連日満席の店は存在する。
店内がうるさすぎて…
そんな“人気店”のひとつが、東京都心の大きな駅の目の前に店舗を構えるレストラン「A」(仮名)だ。
Aは予約がないと入店困難といわれるほどの人気店として知られているため、記者は事前に予約を入れて、2人で7月某日の土曜20時にAを訪問した。案内された席は一辺80cmほどの正方形のテーブルで、他の同じ大きさのテーブルでは大人3~4名のグループも多く、あまりに狭いというのが第一印象だ。実際、ドリンクを各自頼み、料理はバーニャカウダ、オニオングラタンスープ、パスタ、和牛ステーキの4品をオーダーしたが、ドリンク2杯と料理が2皿来た時点でテーブル上は埋まってしまい、残りの品が届く前に「早く食べないと」というせわしないプレッシャーに襲われる始末。
さらに店内の照明は薄暗くムーディーで、各テーブルには小型のロウソクが照明代わりに置かれているのだが、ただでさえ狭いテーブルに火のともったロウソクは邪魔な存在でしかない。演出上の工夫であることは理解できるが、それならばもっと広いテーブルを用意してほしかった。
客層はというと、周囲を見渡すと6~7割が女性客。女性のみと、男性と女性の混合の客ばかりで、男性のみの客は見る限り皆無。
また、入店した時点でほぼ満席状態だったが、席と席の距離が非常に近く、店内はガヤガヤと常に騒がしい。それは、向かい座る同伴者の声すら聞き取りづらいほどのレベルだ。
そして、ホールスタッフの質の低さも気になるところだった。店員は一様にイケメンだが、ファーストオーダー時にドリンクと一緒に料理も頼もうとしていたところ、ドリンクの注文を伝え終わった時点でスタッフはさっさとその場から離れてしまい、料理の注文を受けてもらえず。ブランド和牛のステーキを注文した際、店員から焼き加減を聞いてきたので「ウェルダン」と注文したが、実際に届いたステーキは外身以外赤々としていて完全にレア。これは店内が騒々しいために聞き間違えた可能性もあるが、いずれにしてもひどい間違いと感じたポイントである。