11月17日、ボジョレー・ヌーボーが解禁となった。1980年代のバブル期からボジョレー解禁イベントは人気が高まり、90年代後半の赤ワインブーム以降、解禁日は例年お祭り状態となった。ワイン業界も「50年に一度」「100年に一度」「過去最高といわれた去年よりおいしい」「21世紀最高」などと毎年煽り、輸入量は拡大の一途をたどった。
だが、ワインが日常的に飲まれるようになり、ボジョレーに特別感を抱かない消費者が増えてきたようだ。通年でのワイン輸入量は伸びているが、ボジョレーに限っては15年の輸入量はピークだった2004年の半分程度にまで激減している。
今年は、「『100年に一度の出来』と謳われた03年以来の出来栄え」との触れ込みで、ワイン業界はPRしているが、かつてのような盛り上がりは見られない。
この週末で味わってみようと考えている方も多いと思うが、実際のところ、今年の出来栄えはどうなのか、ワイン販売業者と専門家に話を聞いてみた。
「『2003年以来の出来栄え』という触れ込みですが、正直なところは『悪くはないが、特別おいしいというほどでもない』といった印象です。全体的に、ベリー系の果実のようなフレッシュさが特徴ですね」(東京・渋谷の輸入ワイン販売業者)
そもそも、ワイン業者が「今年はまずい」などと言うわけもないので、本当においしいかどうかを見抜くのは難しいのではないだろうか。
「おいしい、まずいというのは主観的な要素なので、試飲してみて、好きか嫌いかで判断するしかないですね」(同)
日本のワイン業界は、かなり大げさなキャッチコピーをつけて宣伝している。フランスのボジョレーワイン委員会は、毎年10月下旬に試飲会を開き、そこでその年のボジョレーを評価しているが、その後に日本のワイン販売業者らが「販売文句としてキャッチコピーをつくっているのだ。過去の評価を見てみると、総じてボジョレーワイン委員会は日本での販売文句に比べて控えめだ。
たとえば、03年のボジョレーワイン委員会の評価は「並外れて素晴らしい年」だ。出来が良いのは間違いないが、「100年に一度」などとは言っていない。ほかにも、「21世紀最高の出来」とのキャッチコピーだった11年の委員会評価は「3年連続で、偉大な品質となった」であり、売り文句がいかに大仰であるかがわかる。
ちなみに、今年のボジョレーの委員会評価は「エレガントで、魅惑的なワイン」だ。