翌年に同誌で発表された「2015ヒット商品ベスト30」でも「ペッパー」は11位にランクインしている。
また、北陸新幹線延伸の効果で金沢・能登・富山の観光ブームが到来すると予測されていた3位の「北陸トライアングル」も、金沢だけが突出していた感はあるが、的中したといえそうだ。
だが、それ以外は、やはりヒットしたといえるものは少ない。
食品の機能性表示制度の解禁に伴いヒットするだろうと予測されていた1位の「グルメ“健効”系フーズ」などは、残念ながら大ブレイクしたとはいいづらい。そして、スマホでの“自撮り”文化が定着し始めたため「セルカ棒」は大ヒットしていたが、2位と予想されていた自撮り機能を充実させた「セルフィースマホ」は、スマホの勢力図を塗り替えるほどの勢いはなかった。
「2016ヒット予測」とその結果
1位 新電力トリプルセット割
2位 激安オムニ家電
3位 街かどインスタプリント
4位 セルロース・ナノ・コスメ
5位 PlayStation VR
6位 “テラハ風”エコノミーホテル
7位 G-SMART
8位 ベランダ・グランピング
9位 ドラクエXI&ビルダーズ
10位 食べるコスメオイル
11位 “無充電”スマホ
12位 近大ナマズ
13位 乳酸菌チョコレート
14位 ソーシャルカーシェアリング
15位 デジタルウインドウ
16位 4代目プリウス&SUV
17位 京都鉄道博物館
18位 ザ・フライング・ダイナソー
19位 超ユニバーサルフード
20位 疲れないハイヒール
(「日経トレンディ」15年12月号より抜粋)
そして今年のヒット商品を見てみると、こちらも的中数は少なめだ。
10月に発売されて初週販売台数が5万台を突破し、品薄状態がいまだ続いている5位の「PlayStation VR」は、売り上げと話題性の双方でヒットしたといえそうだが、前年から大きな話題となっていたので妥当な結果だ。
そして、1位の「新電力トリプルセット割」は、電力自由化によって提供される新しいサービスとしてメディアではこぞって取り上げていたが、多くの一般家庭はまだ様子見の段階にあるのか、大ブレイクは果たしていない。
「激安オムニ家電」や「街かどインスタプリント」も、世間の認知度は低い感があり、予測の2位、3位としては物足りないヒット具合だ。
的中率の低さはしかたない?
過去3年分の予測とその結果を検証してみたが、的中率はさほど高いとはいえなさそうだ。
だが、選考基準にある通り、この予測は「売り上げ、販売量が延びる」ことだけを指針にしているわけではなく、多角的な視点から予測しているため、今回の分析には異論もあるだろう。ただ、心情的には、取り上げられた商品が、わかりやすいかたちで“ヒット”することを期待してしまう。
1987年の創刊以来、約30年も日本のトレンドを紹介してきた「日経トレンディ」でも高い的中率を実現できないということに鑑みると、ビジネスムーブメントを的中させることは極めて難しいといえる。
(文=昌谷大介/A4studio)