私はいろいろなところで「経営戦略」を教えている。主宰している「リーダーズブートキャンプ」を嚆矢として、各地の公開セミナーはもちろん、企業での経営指導に駆け回っているわけだが、私の「戦略指導」とは、「戦略の立て方を教える、参加者に自分で戦略を立ててもらう」というユニークなものだ。
策定の指導なので、私が経営戦略をつくるのではなく、「その会社の経営者、あるいは幹部の方たちに経営戦略を立ててもらう」というものだ。皆さんがご自身の経営戦略を立てるお手伝いをする。だから業界、業種を問わない。全社戦略だったり、部門別戦略だったり、なんでもござれだ。3年戦略が標準なので、中期経営計画を立てようとしている会社にも好適となっている。
「いい戦略」をどう立てる?
先日とある大企業で執行役員を対象とした幹部研修に呼んでいただいた。1日だけで戦略策定の技法を駆け足で学んでもらう。
もちろん、1日だけでは本格的な戦略を立ててもらうわけにはいかない。しかし、その方法論を学んでもらうために、参加者皆さんが率いている部門の3年戦略を駆け足で立ててもらう。リーダーズブートキャンプなどで本格的な3年戦略を立ててもらうには、数カ月を使って詳細に組み立ててもらうのだが、今回は短時間でその技法のエッセンスを学ぶという研修だ。
私が指導しているのは「課題解決型の戦略策定法」といい、策定ツールとして「戦略カードとシナリオ・ライティング」という技法を駆使する。このメソッドの構成を1日で“触り”として体験してもらい、技法として習得してもらうというのが今回の研修だった。
研修の途中で質問をもらった。
「戦略の立て方を教えてもらっているわけですが、だからといって良い戦略が立てられるわけではないでしょう?」
これはまったくその通りで、「良い質問です」と返した。「戦略の立て方」とは技法、つまりスキルなので学び習得することができるのだが、それを十全に活用するには使いこなす力、「経営体力」が必要なのだ。
体育会で大会を戦うレベルを目指せ
戦略の立て方を教えるとは、テニスでいうとストロークの打ち方を教えるのと同じだと思ってもらえればいい。「ボールを見て、ラケットを後ろに引いて、ヒッティングポイントで打って、フォロースルーする」という類の指導である。技術、技法だからそんな説明やデモンストレーションで伝授できる。