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山田修「間違いだらけのビジネス戦略」

御社がダメな原因は、もう通用しない「これまでのやり方」…従来と違う戦略の立て方

文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント

 しかし、それを実戦で活用するとなると、止まっているボールを打つわけではない。そして相手のあることだ。速く、強いボールを打たなければ相手を負かすことはできない。遠くに打たれたボールを拾って打つには、素早い判断力や速く走れる瞬発力が必要だ。ストロークを打つという技法を実戦で活用するには、それを駆使する、できる体力が必要なのだ。

「皆さんが求められているのは、ラリーをできるレベルではないでしょう」

 質問者を私が鼓舞した。

「皆さんは経営幹部であり、近い将来は経営者たるべき方々です。学生テニスのプレイヤーでいえば、体育会に所属する競技者として第一線で戦いに参加しています。期待されていることは、そしてご自身が目指すべきことは大会に参戦して勝ち上がる強さのはずです。それには、スキルとそれを駆使できる体力が必要なのです」

アクションプランを思いつける「経営体力」とは

 全社戦略や部門戦略を立てるにあたり、「経営体力」が大きく影響するのはどんな部分なのか。

「戦略カード」を駆使して展開する「シナリオ・ライティング技法」には次の5つのステップがある。

1.目標の設定
2.課題の発見
3.解決策の策定
4.派生問題と対処
5.発表と共有

 それぞれのステップで「戦略カード」を使って「一人ブレーンストーミング」をしながら、できるだけ多くの要素を言語化するのが「カード出し」。それが終わったら、優先度による「カード選び」をする。そして次のステップに進んでいく。5つのステップのなかで、「3.解決策の策定」がいわゆる「アクション・プラン」となるわけだ。ここのステップで重要となるのが「思いつき」だ。

 戦略策定指導で私がいつも強調しているのが、「今まで当社で採用していなかったやり方、できれば突飛に思われるようなカードを出してください」ということだ。考えてみれば当たり前である。今までの、そして現在のやり方でうまくいかないのである。れで新しく3年戦略を立てよう、ということなので、何か新しい施策を検討しなければならない。ある方から、次のような質問が上がった。

「山田先生が自社事例として示してくれたような、うまい解決策が思いつけるとは思いません」

 それはそうかもしれない。でも私があなたの代わりにあなたの戦略を立てるのではない。あなたの戦略とはあなたの「経営体力」の範囲内でしか立ち上がってこないのだ。20名にテニスを教えても、強い子、弱い子が出るのと同じことだ。

山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役

山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役

経営コンサルタント、MBA経営代表取締役。20年以上にわたり外資4社及び日系2社で社長を歴任。業態・規模にかかわらず、不調業績をすべて回復させ「企業再生経営者」と評される。実践的な経営戦略の立案指導が専門。「戦略カードとシナリオ・ライティング」で各自が戦略を創る「経営者ブートキャンプ第12期」が10月より開講。1949年生まれ。学習院大学修士。米国サンダーバードMBA、元同校准教授・日本同窓会長。法政大学博士課程(経営学)。国際経営戦略研究学会員。著書に 『本当に使える戦略の立て方 5つのステップ』、『本当に使える経営戦略・使えない経営戦略』(共にぱる出版)、『あなたの会社は部長がつぶす!』(フォレスト出版)、『MBA社長の実践 社会人勉強心得帖』(プレジデント社)、『MBA社長の「ロジカル・マネジメント」-私の方法』(講談社)ほか多数。
有限会社MBA経営 公式サイト
山田修の戦略ブログ

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