1月6日の東京株式市場では、ディー・エヌ・エー(DeNA)株が買われ、一時は前日比6%高の2775円まで上昇した。
DeNAはホームページで「日産自動車の製造する自動運転車両を活用した新たな交通サービスのプラットフォーム(基盤)を開発することを決定した」と発表した。これが株価を刺激したかたちだ。
日産との提携により、2020年までに無人運転による交通サービスプラットフォームのビジネスモデルを検証するとしている。同時に、これまで自動運転に関して業務提携してきたZMPとの契約を解消すると発表した。
契約解消の理由を、「ロボットタクシーの運営方針の違いから、両社は別々の取組みを行うことが最高であるという考えに至り、業務提携を解消する運びとなりました」と説明している。
DeNAは、自動運転車のパートナーをZMPから日産に乗り換えたということだ。これが株式市場で好感された。
DeNA株は、自動運転車の技術開発や、任天堂とのスマートフォンゲームの開発などで、16年9月8日に3995円の昨年来高値をつけた。その後、医療系キュレーションサイト「WELQ」を発端としたキュレーションサイト事業のトラブルが響き、同年12月22日には2465円まで38.3%下落した。日産との提携によって、投資家の間に安心感が広がったとアナリストは分析している。
無人タクシーに立ち塞がる規制の壁
DeNAが構想する無人タクシーには、課題が山積している。DeNAと合弁でロボットタクシー株式会社を設立したZMP社長の谷口恵恒氏は、設立会見で「2020年の東京オリンピックで、無人のロボットタクシーを多く走らせたい」と強い意欲を見せたが、実現には山あり谷ありである。
世界の名だたる企業が自動運転車を実用化すべくしのぎを削っているが、開発段階は大きく4つに分けられる。
レベル1:ハンドル、ブレーキ、アクセルのいずれかひとつを自動操作
レベル2:ハンドル、ブレーキ、アクセルの複数を自動操作
レベル3:すべての操作を自動操作。緊急時はドライバーが対応
レベル4:完全自動運転。無人運転が可能
国内外の自動車メーカーが開発に力を入れているのは、レベル2あるいは3だ。ZMPは、レベル1~3で大手自動車メーカーと張り合っても勝負にならないと考え、最初からレベル4を目指した。