決められたことをやらない「農業=脳業」企業の唯一無二経営!生産センター倒壊から奇跡の急成長
アグリビジネス、農業ベンチャー、大手企業の植物工場参入などが注目を集めるなか、元祖・農業ベンチャーの村上農園が急成長を遂げている。2016年、年商は約90億円。今年は100億円を目標に驀進中だ。
村上農園は、広島市に本社を構える。戦前、刺身のツマなどに使われる「紅タデ」の栽培からスタートし、1978年に村上秋人が「株式会社村上農園」としてかいわれ大根の生産を開始。95年には豆苗生産を始めた。
その後、「ルッコラ」「ハーブシリーズ」「スプラウトシリーズ」などを発売した。いまや、豆苗やスプラウト市場のシェア過半数を占める、発芽野菜のパイオニアだ。さらに、発がん性物質を抑制する「スルフォラファン」を豊富に含む「ブロッコリースーパースプラウト」をヒットさせ、「機能性野菜」の新市場を創出した。
近年の同社急成長の立役者が、リクルート出身という異色の経歴をもち、93年に入社して07年から社長を務める村上清貴だ。秋人のいとこの子にあたる。農業ベンチャーの先駆者に、成功の要因を聞いた。
年商100億円へ
片山修(以下、片山) わずか2年半前の14年に「目標は年商50億円」と聞きましたが、今年の目標は2倍の100億円です。
村上清貴氏(以下、村上) 年商50億円の目標は、13年から掲げていました。ところが、13年は未達、14年2月には当社の豆苗の半分以上を生産する山梨北杜生産センターが1m40cmの大雪で倒壊してしまった。急遽ほかのセンターの生産能力を増強しましたが、すぐに全量は賄えず、回復に半年、山梨北杜生産センターの完全復旧には1年を要してまた未達でした。15年は、三度目の正直で50億円を突破し、58億円でした。
片山 そこから、昨年は一気に90億円まで伸びた。15年4月に「機能性表示食品」制度が開始されたことも、追い風ですね。
村上 「ブロッコリースーパースプラウト」や「ブロッコリースプラウト」などが、機能性のある野菜として注目され、メディアへの露出が増え、スプラウトシリーズが大幅に伸びました。種子の調達や生産体制が追いついていれば100億円達成可能だったと思います。成長が急激すぎて準備が間に合わなかった。今期こそ、100億円を達成したいですね。