フードデリバリーサービス「Uber Eats(ウーバーイーツ)」が、持ち帰り注文金額を35%引きにするキャンペーンを始めた。キャンペーンの内容は10月13日から11月2日までの期間中、ウーバーイーツアプリの「お持ち帰り」機能を使って700円以上の商品を注文すると、合計金額の35%(上限1000円)を割り引くというもの。
だが、このキャンペーンが告知されると、インターネット上には疑問の声があふれた。それは、「料理を配達してもらうためのサービスなのに、配達してもらわないウーバーイーツって何の意味があるの?」といった内容だ。
実はこの持ち帰りのサービスは、「ピックアップ」という名で2019年6月から始まっている。事前にアプリで注文した料理を、店舗で受け取ることができる。だが、ウーバーイーツを経由して注文するメリットとは、どのようなことが考えられるのだろうか。
「ウーバーイーツを利用するメリットは、アプリを開いて地図上にあるさまざまな店舗の商品を同時に注文できるということが挙げられます。また、ネット注文に対応していない店舗であっても、ウーバーイーツ経由にすることで、待たずに希望の時間に商品を受け取れるというネット注文のメリットが受けられます」(マーケティングコンサルタント・西山雄基氏)
だが、持ち帰りサービスには気を付けなければならない点もある。
「ウーバーイーツは本来、飲食店と客の双方から手数料を取っています。しかも、飲食店からは売り上げの4割弱を徴収するため、多くの場合、ウーバーイーツ経由の注文は料金設定が1~5割高くなっています。35%OFFになっているとはいえ割引の上限は1000円なので、場合によっては直接店舗で購入するより高くつくこともあるので注意が必要です」(同)
サービス料無料、配達料無料、35%OFFといった文言にひかれてしまいそうだが、それぞれの店舗で注文するほうが無難だろう。
新型コロナウイルスの感染拡大によって外出自粛が長く続いたことで、宅配サービスの利用者は爆発的に増えた。多くの飲食店も、来店客が減少するなかで宅配に活路を見いだそうとし、ウーバーイーツや出前館に続々と加盟した。特にウーバーイーツは、業績が大幅に伸びている。展開する米ウーバー・テクノロジーズによると、今年4~6月期は食品宅配事業が前年同期比で2倍以上になっているという。
GoToイートなどの施策で政府が外食を後押ししてはいるものの、外食をする人の割合がコロナ禍以前の水準まで戻るには、長い時間を要するとみられる。そんななか宅配やテイクアウトは、飲食店の生き残りを左右する事業となるだろう。ウーバーイーツの業務を邪魔するつもりはないが、苦境にある飲食店を支援することを考えると、なるべく店舗で直接注文するほうがいいのではないだろうか。
(文=編集部)