「オートバックス」を運営するカー用品店最大手のオートバックスセブンの凋落が止まらない。2017年3月期の売上高は前年比2.0%減の2040億円、本業のもうけを示す営業利益は13.0%減の58億円だった。
直近10年間の業績を確認すると、売上高は08年3月期には2664億円あったが、その後は右肩下がりで減少している。この10年で売上高は624億円(23.4%)も減少した。営業利益は10年3月期から14年3月期までは100億円を超えていたが、それ以降は100億円を割り込んでいる状態だ。
カー用品市場は自動車需要の影響を強く受ける。当然、自動車の需要があればカー用品も売れる。したがって、オートバックスセブンの業績低迷は、自動車の需要減少がまず考えられる。だが、どうやらそうではないようだ。確かに若者の「自動車離れ」など、自動車の需要減が叫ばれて久しいが、それも近年は一服していることがわかる。
日本自動車工業会が発表している「自動車需要台数推移」(国内)によると、07〜16年の10年間でいえば自動車の国内需要は減っていない。リーマンショックに端を発した金融危機の影響で08~11年は年間400万台後半に落ち込んだものの、12~16年は概ね500万台前半で推移している。つまり、近年は自動車の需要は減っていないのだ。
自動車検査登録情報協会が発表している「自動車保有台数」を見ても、市場が縮小していないことがわかる。乗用車の保有台数は16年が6083万台で、07~16年の10年間は一貫して増加している。
ただ、自動車があってもカー用品への支出を減らしている可能性はある。つまり、家計の支出をほかに振り向けている可能性は否定できない。だが、自動車の需要や保有台数が一定水準ある以上、カー用品市場が大きく落ち込んでいるとは考えにくい。市場規模の縮小があったとしても、限定的だろう。
イエローハットに客が流出?
では、大幅な市場の縮小が要因でないとすれば、オートバックスセブンの業績低迷の理由は何か。
競合他社との比較がヒントになるだろう。そこで、競合のひとつであるイエローハットの業績を見てみると、オートバックスセブンの不調とは対照的に右肩上がりで成長している。
イエローハットの17年3月期の売上高は前年比3.1%増の1298億円で、8期連続の増収を達成している。営業利益は近年、概ね60〜80億円で推移し安定的だ。営業利益率は概ね5〜7%で、オートバックスセブンの2〜6%よりやや高い水準で推移している。