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日銀、赤字に陥る可能性…異常な資産膨張、「出口」で増税や社会保障削減の懸念

文=横山渉/ジャーナリスト
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日銀、赤字に陥る可能性…異常な資産膨張、「出口」で増税や社会保障削減の懸念の画像1日本銀行(撮影=編集部)

 日本銀行は総資産が5月末時点で500兆8008億円となり、初めて500兆円を超えた。アベノミクスによる大規模な金融緩和で、大量に国債を市中銀行から買い続けているためだ。「デフレ脱却」を合言葉に、物価上昇率2%を目標としているものの、期待通りには上昇していない。

 500兆円というと、2016年の日本の名目GDP(国内総生産)536兆円とほぼ同規模である。米FRB(連邦準備制度理事会)の総資産は対GDP比で23%、ECB(ヨーロッパ中央銀行)が38%だから、日銀は突出しているといえるが、デメリットはあるのか。金融ジャーナリスト・浪川攻氏は語る。

「すでに日銀が国債市場を支えている状況で、長期金利(償還期間が10年の国債の利回り)は0.1%を切るほど、めちゃくちゃ低くなった。さらに、今は金融機関が日銀に預けている当座預金の一部にはマイナス金利が適用されていますが、もし、これをやめてプラス金利に戻すと、国債の運用利回りがなくなり、日銀が赤字に陥る可能性がある。中央銀行が赤字になると、国庫納付金が払えなくなり、政府の収入が減る。政府は何かで穴埋めしなければならないが、結局、国債をまた発行するようになり、悪循環です」

 日銀が得た最終的な利益、すなわち所要の経費や税金を支払った後の当期剰余金は、準備金や出資者への配当に充当されるものを除き、国民の財産として、国庫に納付されることになっている。これを国庫納付金という。

「また、今後、日銀が購入する国債の量を減らしていった場合、国債の価格が下落し、金利が急上昇する恐れもあります。中央銀行が巨大な資産を抱えていながら赤字というのは、一般論として、その国の通貨は売られます。しかし、今までそんなことは起きませんでした。これからも起きないかもしれないし、起きるときは大きく起きるリスクを抱えることになります」(浪川氏、以下同)

外国政府のサムライ債発行で日本が批判の矢面に?

 金融緩和政策を取ってきたのは日本ばかりではなく、米国もEUも同様の政策を取ってきた。しかし、FRBは金融政策の正常化に向けて、まず国債などの買い入れを次第に減らし始めた。そして、一昨年12月にゼロ金利政策を解除して、9年半ぶりとなる利上げに踏み切った。その後、昨年12月、今年3月、そして6月14日に追加利上げを決めた。

「先進国でもっとも低金利なのが日本ですが、世界の投機筋はほとんどタダ(金利ゼロ)で円を調達できる。それを為替市場でドルに変換して、巨額投資をするかもしれない。これを円キャリートレードといいますが、06年にも問題になりました。当時、日本の金融緩和がEUのバブルを引き起こしたと海外から批判されました。そうして、日銀は一時的に量的緩和をやめました。今は、環境的にはその当時に似ています。東欧では円建ての住宅ローンという商品が発売されたこともありました」

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