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日立とNECは、2010年のルネサス誕生前後に三菱も含め3社で計2000億円前後の増資をしており、日立関係者は「あれが手切れ金」だったと語る。省エネ効果が高いパワー半導体事業を成長事業と位置づける三菱と異なり、日立とNECは半導体事業に距離を置いており、ルネサスへの追加投資は株主への説明がいまさらつかないというわけだ。
だが、「ルネサスの資本構成は3社で9割近くにまで上る。三菱が言うように責任がある」との見方が市場では支配的だ。外資系アナリストの中には「工場を次々につくっておきながら、これまで手を打たなかった親会社としての責任は重い」と語る者もいるほどだ。
過去にソフトランディングのチャンスを潰したのは日立?
関係筋の話では、現在のルネサスの前身であるルネサステクノロジ(日立と三菱の合弁会社)経営陣が、外資系ファンドと工場売却交渉を進めたという。だが、売却交渉をルネサス幹部から聞いた日立の庄山悦彦社長(当時)は「ファンドなどに売るな」と一蹴。ルネサス関係者は「日立が首をタテに振らなかったために流れた話はいくらでもある」と振り返る。もちろん、当時と今では情勢が異なり、「あの時、売っていれば」は結果論にすぎない。しかし、もっと前にキッチリと整理しておけば、今回のような大リストラに陥らず、もっとソフトランディングできたのでは、という見方がルネサス関係者の間では大勢だ。
三菱は大リストラで一気にカタをつけてしまいたい算段だが、日立とNECはその原資の出資に難色を示す。経営再建策を打ち出すメドは6月末に迫っている。事態はますます混とんとした様相を見せ始めている。
(文=江田晃一/経済ジャーナリスト)
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