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『鬼滅の刃』缶コーヒー、販売直後に5千万本突破…ダイドー、年間利益が予想の5倍に爆増

文=編集部
『鬼滅の刃』缶コーヒー、販売直後に5千万本突破…ダイドー、年間利益が予想の5倍に爆増の画像1
(鬼滅の刃コラボ)ダイドーブレンド ダイドーブレンドコーヒーオリジナル(サイト「Amazon」より)

 映画『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の興行収入が歴代1位になった。東宝の11月の興行収入は前年同月比10倍に達した。集英社から原作マンガの最終巻が発売された日の早朝、書店周辺の人出が普段の2倍になったという。カレーのコラボ商品、丸美屋食品工業の「鬼滅の刃カレー」は一時、発売直後の週に、新製品の発売後1週間の平均実績の60倍近い売れ行きを記録した。『鬼滅の刃』の経済波及効果は2000億円を超えると試算されている。

『鬼滅の刃』のコラボ缶、3週間で5000万本突破

 ダイドーグループホールディングス(GHD/東証1部)傘下のダイドードリンコが『鬼滅の刃』をあしらった缶コーヒーを1500万本追加販売する。『鬼滅の刃』とのコラボは、「ダイドーブレンド」発売45周年を記念して実現した。「ダイドーブレンドコーヒーオリジナル」に加え、新発売の「ダイドーブレンド絶品微糖」「ダイドーブレンド絶品カフェオレ」の3品に『鬼滅の刃』をデザインした計28種類のコラボ缶コーヒーを発売した。10月5日の発売直後から話題となり、約3週間で累計販売5000万本を突破した。

 ダイドーブレンドコーヒーをあまり飲んでいなかった若年層が商品を認知し、購入につながったという。この結果、缶コーヒーの年間販売計画を1500万本上乗せすることにした。ダイドーGHDは2021年1月期の連結業績予想を上方修正した。純利益は前期比41%増の25億円になる。従来予想は同72%減の5億円だったから、実に5倍だ。営業利益は前期比49%増の43億円と、従来予想から25億円オンする。原料のコーヒー豆の国際価格の下落が利益を押し上げた。

 10月単月のコーヒー飲料の販売数量(本数ベース・速報値)は、前年同月比49%増となった。コーヒー飲料の販売本数は11月も10%増と好調を維持している。それでも、21年1月期の連結売上高は前期比7%減の1560億円にとどまる。マレーシアでの飲料販売撤退が響く。トルコのミネラルウォーター販売も同国通貨リラ安で売り上げが目減りした。

連結売上高の8割が自販機、看板商品は缶コーヒー

 国内飲料事業は連結売上高の7割強を占める主力事業だ。2~10月期の売上高は前年同期比7%減の869億円。カテゴリー別ではコーヒー飲料が半分を占め、コーヒー類の売上高は4%減の436億円。チャネル別では自販機チャネルが8割弱。自販機チャネルの売上高は9%減の686億円だった。ダイドーGHDは自販機缶コーヒーの一本足打法である。定価で販売する自販機は、スーパー向けなどと比べて利益率が高い。全国に約28万台展開する自販機が業績のカギを握る。

 近年、コンビニ各社がいれたてのコーヒーを強化しており、競争が激化した。そこへコロナ禍による外出手控えという逆風が加わった。若者層の取り込みを狙った起死回生策が『鬼滅の刃』のコラボ缶だった。コラボ缶は大ヒットしたが、一時的な話題にとどまる可能性は否定できない。

コロナ時代を乗り切るための新事業の数々

 日本で独自に発展した自販機ビジネスは曲がり角を迎えている。品揃えの多いコンビニとの競争が激しくなっている。自販機の設置台数はピーク時の13年から7%減の2305万台である。自販機を通した飲料の売上数量も5億810万ケースと13年比で13%減った。売り上げが減っているところに新型コロナウイルスが直撃した。在宅勤務の普及で稼ぎ頭だったオフィスや駅の自販機の販売減が続いている。

 ダイドーGHDは自販機を設置した場所を生かした新事業を模索する。大王製紙などと組み、ベビー紙おむつを売る自販機を設置、今後は全国200台に増やす。自販機の脇で傘の貸し出しサービスも始めた。スマホを充電できる自販機も試験的に導入する。

 NTTドコモと組み、自販機に次世代通信規格「5G」の基地局を設ける。既設の自販機の上にアンテナなどの設備を取り付ける。全国に28万台あるダイドーの自販機を活用して、5G通信できる地域を広げる。

 あらゆるモノがネットでつながるIoT対応の自販機を投入する。通信機器を付けてリアルタイムで売れ行きを把握する。場所や気候を応じて商品群を変更できれば、売り上げ増につながるという計算が働いている。22年1月までに直営の自販機、約8万台すべてをIoT化し、データを生かした作業効率化で自販機の商品の補充に関わる人員を3割減らす。

 ダイドードリンコは新たなビジネスモデルの確立を急いでいる。

(文=編集部)

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