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ビッグモーター、オイル交換を突然有料化…「永年無料」を一方的に破棄は許されるのか

文=編集部、協力=山岸純/山岸純法律事務所・弁護士
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「ビッグモーター」公式サイトより

 中古車販売店のビッグモーターは、「買取台数4年連続日本一」を誇る業界大手で、佐藤隆太を起用したテレビCMが連日放送されているため、知名度も抜群に高い。中古車の売買のみならず、車検、修理、板金塗装なども行い、自動車に関するサービスをワンストップで提供できることが売りのひとつだ。

 そんなビッグモーターは、同社で中古車を購入すると「オイル交換を永年無料」で提供することを謳い文句に、客を獲得してきた。だが、今月から突如としてオイル交換が有料になったとして、インターネット上でユーザーから苦情が出ている。

 確認すべく、ビッグモーターの公式サイトを見たが、有料化を告知するニュースは出ていない。本社の代表電話にかけてみると、「ホームページのお問い合わせフォームよりご連絡をお願いします」とのアナウンスが流れる。そこでホームページの問い合わせフォームから質問を投げようとしたが、問い合わせフォームがすでに閉鎖されているのか、送信することはできなくなっている。

 仕方がないので、東京都内のある店舗に電話をかけてみた。すると、今月から有料化したことは事実で、全国一律に有料化することになったという。特にアナウンスなどはしておらず、オイル交換に来た客に対してのみ事情を説明するだけのようだ。ちなみに、オイル交換する際の金額は、オイル1リットル当たり150円からということで、カー用品専門店やガソリンスタンドなどで交換する価格とほとんど変わらない。

 ここで気になるのは、「オイル交換永年無料」を掲げていたにもかかわらず、一方的に有料化するのは、法的に許さるのかということだ。ずっと無料でオイル交換をしてもらえると信じてクルマを購入した客を裏切る行為ではないだろうか。山岸純法律事務所の山岸純弁護士に話を聞いた。

「中古車を購入する際の「契約書」に「オイル交換永年無料」と記載されていたのに、突然、有料としたのであれば、契約違反(債務不履行)となります。事情が変わったからといって、契約上の義務を一方的に変更することはできません」

 仮に契約書などに、「サービスが途中で予告なく変更・終了する場合があります」などと事前に契約書などに記載してあった場合には、有料化は問題ないといえるのだろうか。

「契約条項や約款などに『サービスが途中で予告なく変更・終了する場合があります』と記載されている場合が多々ありますが、『変更・終了』と言われても、どのサービスがどのように変わるのかもわからないようでは、文句も言いたくなります。

 そこで、昨年4月に改正された「民法」では、個別に相手方と合意することなく「定型約款」の内容を変更するための要件として、
(1)その変更が相手方にとって利益となる変更であること、
または、
(2)相手方にとって不利益変更である場合にはその変更が契約の目的適合性と合理性を有すること
を挙げています。

 さらに手続として、変更の効力発生時期を定め、変更の内容等を適切な方法で周知することも必要とされています。

 今回の場合は、客にとって不利益な変更でしょうから、「契約の目的適合性と合理性を有する」かどうかが判断されることになりますが、これは「契約の当事者が、契約をする目的としていたことに違反しないかどうか、契約にあたって理解していた内容が維持されているかどうか」がポイントになります。

 消費者にとって、オイル交換無料が中古車購入の理由となっているのであれば、オイル交換無料が有料になることは想定できるはずもなく、およそ認められないでしょう」(山岸弁護士)

 ビッグモーターはガリバーに次ぐ業界2位の規模で、全国各地に店舗を展開しているが、ネット上の評判は芳しくない。オリコンが調査している「車買取業者満足度ランキング」を見ても、あまり評価は高くない。特にここ数年は、2017年7位→2018年8位→2019年9位→2020年11位と、順位を落とし続けている。その理由は、顧客に対する姿勢にあるのではないだろうか。
(文=編集部、協力=山岸純/山岸純法律事務所・弁護士)

山岸純/山岸純法律事務所・弁護士

山岸純/山岸純法律事務所・弁護士

時事ネタや芸能ニュースを、法律という観点からわかりやすく解説することを目指し、日々研鑽を重ね、各種メディアで活躍している。芸能などのニュースに関して、テレビやラジオなど各種メディアに多数出演。また、企業向け労務問題、民泊ビジネス、PTA関連問題など、注目度の高いセミナーにて講師を務める。労務関連の書籍では、寄せられる質問に対する回答・解説を定期的に行っている。現在、神谷町にオフィスを構え、企業法務、交通事故問題、離婚、相続、刑事弁護など幅広い分野を扱い、特に訴訟等の紛争業務にて培った経験をさまざまな方面で活かしている。
山岸純法律事務所

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