政府と大企業に搾取される庶民…見てはいけない搾取の構図:43人に1人の富裕層の真実
何も知らない庶民が損する社会構造
野村総合研究所発表の日本の富裕層推計(2015年時点)によると、保有する純金融資産(不動産資産を除外)が5億円以上の世帯は7.3万、1億円以上~5億円未満の世帯は114.4万です。一世帯の平均構成人数が2.4人であることを勘案すると、合計で約292万人(人口比2.3%)に上ります。クレディ・スイスの推計(16年時点)でも1億円以上保有の人は282万人なので、概ね一致します。人口の約43人に1人は“億万長者”ということになります。
実は、野村総研の13年時点での推計では、億万長者世帯は100.7万世帯(242万人に相当)だったので、わずか2年で50万人も増えています。純金融資産1億円以上の富裕層世帯の保有する額で比べても、13年の総額が241兆円に対して、15年は272兆円に31兆円も増えています。
フランスの経済学者トマ・ピケティ氏が『21世紀の資本』(みすず書房)で喝破したように、「r>g」(rは資本収益率、gは経済成長率)なので、金持ちが持てる資本を転がして儲けるほうが、労働者がせっせと働いて得る収入よりも大きいために、格差は広がるというわけです。庶民は働くばかりでは能がない――ということが、はっきり見て取れます。そして、政府や大企業、大手マスメディアといったエスタブリッシュメント層によって、庶民がいいように搾取されている実態は、あまりにも知らされていないのです。
そこで、筆者は9月に『知られたくないウラ事情「不都合な真実」』(ぱる出版刊)を上梓しました。本稿では、同書にも収録した「えげつない事例」をざっと紹介させていただきます。
宝くじ
庶民が楽しみに購入している「宝くじ」は、「自治振興・社会貢献」が旗印ですが、総務省の金城湯池となって、同省OBに高額報酬をもたらすのが目的化していることをご存じだったでしょうか。
宝くじの年間売上は9154億円(15年)ですが、還元率はたったの47%しかなく、他の公営ギャンブル(競馬・競輪・競艇)の還元率75%と比べても著しく低くなっています。そのうえ宝くじの売上の53%は全国の公共事業に流れるだけでなく、「自治振興」を謳いながら100以上ある総務省所管の公益法人や団体へ数百億円の金が流れ込む仕組みなのです。これらの公益法人や団体には、多くの総務省OBたちが在籍して報酬を得ています。カネの流れの透明化が図られないなら、こんな偽善の悪徳ビジネスはやめるべきです。